お墓参りに行ったら、花立ての筒が割れて水が溜まらない。抜こうとしても抜けない。替えを探すと「S-39」「Φ44」「48」「58」と数字の付いた商品が並び、どれが手元のお墓に入るのかがわかりません。先に答えを書くと、この数字は筒の太さの呼び名(呼び径)で、石の穴の大きさではありません。しかも、呼び径と筒の実寸、必要な穴の大きさは、一致するとは限りません。だから測るのは石の穴のほうで、その数字を商品ページの「必要な穴」の欄と照らし合わせます。
私は2026年10月12日に、花立てを売る店4社(STクラフト・イシケン・ゆがわら・西谷商店)の寸法表と、寺と石材店の解説、公営墓地4市都の決まり、知恵袋の質問6件を読み比べました。寸法は、商品ページの表記です。お墓参りの作法は一人で行ってよいかの記事、行く時間の記事で書きました。
まず、筒が真上に抜けるタイプか、ねじで留まるタイプかを見ます
花立てと呼ばれているものは、石の部分と中の筒に分かれます。墓石店や石材メーカーでつくる、お墓きわめびとの会は「正式には、花をお供えする入れ物を「花筒(はなづつ)」といい、花筒を設置する墓石の部分が「花立」です。」と書き、鈴木石工店も「水を入れる筒状の部品は花筒と呼ばれます」としています。割れたり抜けなくなったりするのは、たいてい中の花筒。売り場では筒も「花立」の名で売られています。
取り付け方は3つあります。いいお墓は「取り付け方法はネジ式、落とし込み式、接着式の3種類」と書いています。
- 落とし込み式: 石の穴に筒を差し込むだけ。お墓きわめびとの会は「墓石に開けられた花立部分の穴に、すっぽりと収まる形」と説明し、ツバ(縁)が付くものと付かないものがあります
- ネジ式: 石に固定した台座に、筒をねじで留める。同じ団体は「金属やプラスチックが傷むとネジ部分が折れてしまうデメリット」を挙げています
- 接着式: 筒を石に接着してあり、同じ団体は「交換する際は石材店に依頼する必要があります」と書いています
どれに当たるかは、知恵袋で「筒が石にくっついて取れない」と尋ねた人へのベストアンサー(2016年)が手がかりになります。「普通の花立は、「ねじ式」か「中入れ式」でねじを廻して取ったり、上に引き抜いて取れるのが一般的」。中入れ式は、西谷商店やイシケンが穴に入れるだけの花筒に使っている呼び名で、落とし込み式と同じ取り付け方です。仏具の通販店のなごやか熱田は、落とし込み・差し込み式を「現在主流のタイプ」、ネジ式・着脱式を「以前の主流はこのタイプ。」と説明していました。
この記事で通販の替えを選ぶのは落とし込み式です。ネジ式や接着式で動かないときの外し方は書きません(理由は後の章で)。
測るのは石の穴の直径と深さ。古い筒が抜けるなら筒も測ります
古い筒が抜けるなら、話は早く済みます。黄檗宗の寺の宝善院は、花筒の買い替えについて「古い花筒が残っている場合は、その花筒と同じ寸法の物を探せばよいのですが、もしも無くなってしまった場合は、石の花立ての穴の寸法を確認しておく必要があります。」と書いています。
測り方は、石材用品を売る卒塔婆屋さんの説明が具体的でした。「石に開いている穴の内径(直径)と深さをミリ単位で計測してください。」。鈴木石工店は、落とし込み式なら「花筒の外径、上部のツバ径と厚み、台座の穴径、穴の深さ、差し込み部分の長さ」を測り、「左右に花立がある墓石では、片側だけでなく両方を確認してください。」としています。写真も撮っておくと、家で商品ページと見比べられます。
深さに決まった寸法はありません。宝善院は「穴の深さにつきましては、基準になる寸法がありません。」と書き、その石材店がよく使うメーカーのLサイズに合わせた深さが多い、という見立てを添えています。見るのは、筒の石に入る部分の長さが穴の深さ以下かどうか。卒塔婆屋さんは「筒が長すぎると、石から浮いてしまいます」と書いています。
よくある穴の大きさも、書き手で揃いません。卒塔婆屋さんは「よくある内径サイズ」に44mm・48mm・53mm・55mmを挙げ、宝善院は工具の5mm刻み(次の章)で説明しています。手元のお墓は測らないとわかりません。穴の内側が欠けていて測れないなら、鈴木石工店の「推測で購入せず相談しましょう。」に従うのが無難です。
「39」「44」「58」は筒の呼び径。石の穴は呼び径以上のものが要ります
商品名の数字は、穴ではなく筒の太さの呼び名でした。イシケンは「φ58は、花筒の規格寸法となります。」、ゆがわらは「φ44は、花筒の規格寸法となります。」と、どちらも商品説明に書いています。そして呼び径は、筒の実寸とも、必要な穴の大きさとも、同じとは限りません。
穴と筒の差について、宝善院の説明が筋道をつけてくれます。「工具には40、45、50、55、60ミリと5ミリ刻みのものがありますので、花筒の太さは1~2ミリ程度小さなものを選びます。」「60ミリの穴の場合は59ミリか58ミリの筒径の花筒を選びます。」。卒塔婆屋さんも、穴が50mmなら「外径48mm前後の花筒がベスト」で、ぴったり50mmだと「一度入れたら二度と抜けなくなったりする恐れがあります。」と書いていました。
手順にすると、穴を測る、呼び径が穴の直径以下の品を候補にする、商品ページの「必要な穴」の欄と穴の直径・深さを照らし合わせる、の3段です。穴が50mmなら、ステンレスの48か樹脂の49が候補になります。
ゆがわらのΦ44は、呼び径と実測の両方を書いていた1品です。カタログ値44mm、実測42mm、推奨する穴は直径4.5センチ・深さ13.5センチ以上。
「筒径」という欄の名前も、店によって指す場所が違いました。STクラフト・イシケン・西谷商店の筒径は、石の穴に入る部分の太さ。イシケンは「筒径とはリング下の一番太い部分を指します。」と書いています。一方、なごやか熱田の差し込み型(na100378)は「筒径 : 5.8cm」「差込み径 : 3.5cm」と並べ、穴に入るのは差込み径のほうです。数字だけを拾うと、20mm以上取り違えます。
穴が50mmなら、ステンレスの48と樹脂の49が候補に並びます
同じ50mmの穴向けに売られているSTクラフトのS-48L(ステンレス)とイシケンのPC49(S)(樹脂)を、商品ページの表記で並べました。必要な穴はどちらも「50mm以上」。
| 【お墓用】花立S-48大 高級ステンレス製 1対2本セット | お墓用花立 プラスチック製 中入れ式 ツバなし 筒径49mm(小) リング下深さ130mm 1対2本セット [PC49(S)] | |
|---|---|---|
| 価格 | 3,331円 | 1,565円 |
| 取り付け方式 | 落とし込み(差し込むだけ) | 落とし込み(中入れ式・ツバなし) |
| 必要な穴(店の表記) | 直径50mm以上・深さ145mm以上 | 直径50mm以上・深さ130mm以上 |
| 筒径 | 48mm(穴に入る部分) | 49mm(リング下の一番太い部分) |
| 石に入る長さ | 145mm(リング下長さ) | 130mm(リング下深さ) |
| 全長 | 155mm | 表記なし |
| 口径・ツバ径 | 口径76mm | 口径78mm |
| 素材 | ステンレス | PC(ポリカーボネイト)樹脂 |
| 入数 | 1対(2本) | 1対(2本) |
| 生産国 | 表記なし | 日本 |
| 送料の条件(2026-10-12) | Yahoo!店: 送料無料の表示(東京都あて・「条件により送料が異なる場合があります」)/Amazon: 購入画面で確認 | Amazon(出荷元・販売元 イシケン): 配送料700円 |
| Amazonで見るYahoo!ショッピングで見る | Amazonで見る |
違いは石に入る長さと素材、送料の条件。石に入る長さはS-48Lが145mm、PC49(S)が130mmなので、測った深さが130mm以上145mm未満なら、記載の条件で候補に残るのはPC49(S)です。ただし、記載の穴径・深さに収まっても、それで入ると決まるわけではありません。鈴木石工店は穴径と深さのほかに「上部のツバ径と厚み」も測る項目に挙げ、なごやか熱田は「サイズが合っていないと、ぐらつきや破損の原因になる」と書いています。穴の内部の形、ツバやリングの収まり、ぐらつきは、届いてから確かめる範囲です。価格は2品とも1対(2本)で、S-48Lが3千円台、PC49(S)が1千円台に配送料が加わる表示でした(2026年10月12日)。
素材は、なごやか熱田がステンレスを「主流」、大野屋が「重宝されています」と書いていますが、販売数などの数字を示したページは今回見た中にありませんでした。プラスチックは、鈴木石工店が「紫外線や寒暖差によって白濁やひびが生じやすい」と書いています。凍結は素材を問わず、小さなお葬式は「氷結による花立ての損傷は陶器のものでなくても起こり得る」、鈴木石工店は「寒い時期は花筒に水を残さないことが重要です。」としていました。
買う前にもう1つ。同じ商品でも、店やページで数字が揃わないことがあります。
同じ商品の寸法がページの中や店どうしで食い違っていたら、どちらかの数字を信じて買うのではなく、購入先に正しい寸法を確かめます。前の章で引いた鈴木石工店の「推測で購入せず相談」は、この場面にも当てはまります。売る単位も、1対(2本)の店とナカムラ(横田石材店)の「1本のみの金額です。」が混ざっていました。
自分で替えやすいのは手で外せるタイプ。固着・石材加工・台座の補修は石材店に相談します
鈴木石工店は、自分で替えやすい条件を「既存の花筒を手で外せる、石材にひびや欠けがない、新しい穴あけが不要、交換部品の寸法が確認できる場合」と書いています。ねじ込み式でも軽く回るなら作業はできるとしつつ、「ねじが折れている疑いがあるときや、レンチを使っても動かないときは中止します。」。そして「花立がまったく動かない、ねじが折れている、台座にひびや欠けがある、接着固定されている、穴を広げる必要がある場合は石材店への依頼が適しています。」。
ネジ式の筒だけを替える場合について、ライフドットと小さなお葬式はどちらも台座ごとの交換を勧めています。小さなお葬式の理由は「違うタイプの花立てを設置すると、ネジ山がうまく噛み合わず結果的に損傷につながってしまう可能性があります。」。台座を新しくするには接着剤やセメントで石に固定する作業が入り、STクラフトの台座固定型(本体ネジ込タイプ)の商品ページにも「接着剤やパテ/コーキング剤にて固定して下さい。」とあります。
知恵袋には、ねじ式の台座が外れず、古い台座にかぶせる交換用の台座をセメントで付けて補修した人もいました(2022年)。セメントで石に付ける作業は、次の章で書く霊園の「工事」に当たるかを確かめたい範囲です。
石材店に頼む場合の費用は、公開されている例で次のとおりでした。
| 頼む内容 | 書き手 | 費用 |
|---|---|---|
| ネジ式の花筒の交換(1対) | 横田石材店 | 11,000円(税込)から |
| 花立の石を工場で穴あけ加工し、落とし込み式に(1対) | 横田石材店 | 19,800円(税込)から |
| ステンレス製の金具への交換(現地作業の場合) | 大野屋 | 38,500円(税込)から |
| 穴の拡張や花筒の取り付け・固定加工を含む相場(1対) | 卒塔婆屋さん | 17,600円〜33,000円程度(消費税の扱いは明記なし) |
(2026年10月12日確認。現地の状態と石材店で変わります)
部品を自分で買って持ち込むつもりなら、順番に気をつけてください。鈴木石工店は「部品を先に購入すると適合しない場合があるので、持ち込みを希望するときは購入前に相談します。」と書いています。
石に穴が無いお墓や、花立てを足したいときは、地面に挿す型と置く型があります
石の花立てに穴が無い、壊れて使えない、供花を増やしたい。そういうときに使われるのが、地面に挿す野花立と、墓前に置く据え置き型です。どちらも石の穴に差し込まないので、穴の寸法に縛られません。
はせがわの野花立 PC 広口タイプ 大は「地面に挿して使用するお墓用のお花立」で、高さ41cm、幅6.5cm。中の花筒が取れる作りです。商品ページに「冬場、溜まった水が凍り付くことで破損する恐れがあります。」とあります。個数は1なので、左右に置くなら2つ要ります。
なごやか熱田の簡易花立は、鋳物の台座に樹脂の筒を載せた一対の据え置き型。「どんな場所でも置くだけで設置完了。」と書き、使う場面として「備え付けの花立が破損してしまった」ときや、「一時的に使用したい」ときを挙げています。台座は鉄で、重さは1点あたり約900g。固定具の記載はないので、置く場所の地面と風当たりを見てから決めてください。
100円ショップでは、ダイソーの公式通販に「墓石用花立て」が載っていました。商品サイズ6×6×29cm、ポリプロピレン、1本入りで、石の穴に入る部分の太さや長さは書かれていません(2026年10月12日)。この寸法だけでは、手元の穴に合うかは判断できません。セリアについては、お墓用品の記事を載せているマルシンが「2026年1月時点では、セリア(100均)で「お墓用花立て」が販売されているという情報は見つかりませんでした」と書いていました。
みんなが選んだ終活は100均でも「問題ありません」と書いていますが、理由は安さと供養の気持ちで、穴に合うかには触れていません。石の穴に差し込むなら、差し込む部分の太さと長さを確かめてからです。
替える前に、霊園の管理事務所かお寺に一言確かめます
差し込むだけの筒の入れ替えに届出が要るかは、今回読めた公営墓地の決まりでは、はっきり書かれていませんでした。一方で、花立てを含む設備の設置や工事に届出を求める決まりはありました。
言えるのは、穴を広げる・台座を接着するなど石に手を加えるなら工事の届出の話になりうる、ということまで。差し込むだけの入れ替えでも、管理事務所に一言聞いておけば迷わずに済みます。鈴木石工店も「墓地や霊園によっては作業方法に決まりがあるため、管理者への確認が必要かどうかも尋ねてください。」と書いています。
お寺の境内の墓地なら、聞く先は住職か、お寺に出入りしている石材店です。知恵袋でプラスチックの花筒が割れた人(2010年)にも「お寺に属している業者(石屋さん)さんがいますので…。そちらに聞いた方が宜しいですよ。」という回答が付き、質問者は「サイズの合わないものを買わないように霊園指定の墓石屋さんに相談してみようと思います。」と返していました。お寺への切り出し方に迷うなら、仏壇の引っ越しの記事で書いた、場面ごとに菩提寺に聞く1文の組み立て方が使えます。
花立てを替える前に決めておくこと
次のお墓参りで測るものと、家で決めておくことを並べました。測るだけなら、普段のお参りのついでに済みます。
親のお墓を子が代わりに見に行くなら、測った数字と写真を家族で共有しておくと、誰が買っても同じ物が届きます。抜けた古い筒は、捨てる前に寸法を測っておくと次の手がかりになります。