樹木葬の遺骨が合葬(ほかの人の遺骨と一緒に埋める形)に移ったあとは、戻らない。確かめた公営8自治体の要項・しおり・条例のすべてにそう書いてありました(相模原市・越生町は「原則として」)。分かれるのは、その前に個別に置かれる期間に取り出せるかどうか。そしてその期間を決めるのは、年数よりも「いつから数えるか」です。やめたときに戻る使用料は0から全額まで分かれ、全額が戻るのは利用許可から1か月以内(さいたま市)や遺骨を送る前(送骨型の約款)といった、早い取り消しに限られていました。

生前に自分の分を申し込む人は使用期間の数え始めの1行を、親の遺骨をこれから納める人は納める期限と立ち会いの欄を、先に見てください。

納め方は大きく3つで、骨壺のまま納める、袋に移して合葬する、粉骨して土に混ぜる、に分かれます。取り出せるかと、土に還るまでの年数の話は、この納め方で先に決まります。

遺骨を取り出せない、お参りが思っていたのと違う、あとから費用がかかる。どれも、申し込む前の規則に書いてあることが多い話です。

合葬のあとは戻らない。分かれるのは、その前の期間と数え始め

規則を並べて分かったのは、トラブルの火種が4つの欄に集まっていることでした。

  1. 遺骨の返還: 合葬のあとは公営8自治体すべてが返さない(相模原市・越生町は「原則として」)。個別の期間に取り出せるかは施設で分かれる
  2. 使用期間: 年数より、数え始め(使用許可日・埋蔵・最後の人の没後)が違う
  3. 使用上の注意: 線香を許す公営と、火気を禁じる公営がある
  4. 使用料の返還: 戻るのは0から全額まで。全額は早い取り消しに限られる

検索1位・2位の記事も、返骨や個別安置期間の延長をトラブルの項目に挙げています。どの書類のどの欄にどう書いてあるかは、この2本には無かったので、この記事はそこを出します。

国民生活センターの相談件数は「墓」でひとまとめで、2025年度は1,077件(2026年5月31日現在)。樹木葬だけの区分はありません。同センターの『国民生活』2025年12月号で、全日本墓園協会の専務理事はこう書いています。

その場合には各々のパンフレットだけを眺めるのではなく、使用規則や料金表こそ、注視するべきでしょう。

遺骨を取り出せるのは、いつまでで、誰か

合葬前の個別の期間に取り出せるかは、施設によって正反対でした。

取り出せる側の例は宝塚市です。注意事項・Q&Aに、こう書いています。

個別カロートに埋蔵されている間は改葬可能です。ただし、使用者がお亡くなりになっているなど、不在の場合は改葬出来ません。

改葬を申し出られるのは使用者がいる間で、市のページにも「埋蔵(納骨)後に使用者が不在となった焼骨は、一切返還することができません。」とあります。生前に自分の分を申し込む人は、自分が亡くなったあとに家族が申し出られるかを、この欄で確かめることになります。

反対側が相模原市です。利用案内は「埋蔵された焼骨及び骨壷は、原則として返還いたしません。」とだけ書き、埋蔵室に骨壺で置く20年について別扱いの記載は無いので、その間も同じ扱いと読めます。横浜市の合葬式樹木型も、骨壺のまま土に納めるのに掘り出すことはできないとしています。骨壺のままだから取り出せそうだと受け取ると、規則と食い違います。

「20年」の数え始めは、3通りあった

個別の期間は、年数より先に数え始めを見てください。宝塚市のQ&Aは、小型シンボルツリー型・ガーデニング型について、ここをはっきり書いています。

使用期間20年は埋蔵から20年ではなく、使用許可日(使用許可証に記載)から起算して20年となります。

続けて「使用期間中に埋蔵されなかった場合は、個別カロートには埋蔵されずに共同埋蔵型へ直接埋蔵されることになります。」とあります。同じ宝塚市でも大型シンボルツリー型は、パンフレットに「期限は設けず」とあります。相模原市も「使用許可日から20年間」。一方、越生町の条例第16条は「墓苑の使用期間は埋蔵から30年とし」と、使用期間を埋蔵から数えています。越生町は合葬へ移すとは書いていないので、ここでは使用期間の数え始めの例としてだけ挙げます。

仮に65歳で生前に申し込み、使用許可日から20年の型を選んだとします。85歳より後に亡くなった場合、個別の期間はその時点で終わっていて、宝塚市の書き方なら個別のカロートに入らず共同埋蔵型へ直接納められます。生前に申し込む人ほど、数え始めの1行が個別の期間の長さを決めます。

民間の公開規則では、最後の人の没後から、最後の埋葬から、生前契約なら本人の死亡時から、と数え始めがさらに分かれました(次の表)。亡くなってから数える型なら、生前の年数は引かれません。

厚生労働省の「墓地経営・管理の指針」(平成12年)は、使用期限の決め方を4つに分けたうえで、こう書いています。

なお、「永代使用」と表示しながら、実際は、②や④であることもあり、具体的な内容が正しく利用者に理解されることが必要である。

②は管理料が払われる間だけ続く型、④は期限つきで更新する型。「永代」の2文字では、何年目に何が起きるかは分かりません。

7件とも、規則の変更について書いた条項がありました。公営も条例や要項の改正で変わるので、民間だけの話ではありません。違うのは知らせ方で、Aはホームページで事前に告知し重要な改定は各戸に個別に連絡する、C・Eはホームページに載せる、Gはインターネット等で周知する、と書いていました。

「土に還る」は、納め方しだい

「自然に還る」も、納め方しだいです。神戸市の樹林葬墓地整備基本方針は、遺骨の形を比べてこう書いています。

従来の墓地のように、カロート(納骨室)や骨壺を設けると焼骨の自然分解は進まず、また焼骨そのままの状態では、土壌等の状況によっては分解に 100 年以上の長期間を要することもあります。

100年以上というのは、焼骨そのままで、土壌の状況によっては、という条件つきの話です。そのうえで神戸市は粉骨を直接土に埋める方法を選び、粉骨は土に還るまで「20~30 年程度と予想される」としています。

骨壺のまま土に納める横浜市と、粉骨を土に混ぜる神戸市では、中の形がこれだけ違います。袋に移す型では、遺骨を出したあとの骨壺を返すかどうかも規則に書かれていて、都立の手引きは「遺骨を納めた骨壷等は返却できません。」、さいたま市のしおりも「骨壺等をお返しすることはできません。」としています。手元に残った空の骨壺の始末は骨壷の処分は何ごみかで調べています。

お参りの決まりは、同じ公営でも線香の扱いから違う

線香をあげられるか、塔婆を立てられるか、納骨に立ち会えるか。これも公営の中で分かれていました。

自治体線香・焼香花・供物・塔婆納骨の立ち会い
東京都(樹林型)献花台(線香台)に置いたままにできるのは花と線香だけ供物は持ち帰り。「卒塔婆やお酒・タバコ等のお供えは固くお断りします。」立ち会えない(職員が埋蔵)
横浜市(舞岡 合葬式)線香・ろうそくを含む火気は禁止塔婆は不可。供物は持ち帰り立会いはできない
さいたま市(樹林型)焼香台あり献花台あり立ち会えない
千葉市「焼香と献花が可能」記載なし立ち合うことはできない
相模原市参拝所で参拝記載なし毎週月・金にまとめて埋蔵。個別の埋蔵は行わない
宝塚市法要は「特に制限は設けていません」記載なし共同埋蔵型は職員が後日埋蔵(当日は献花台の前で手を合わせられる)
越生町献花台で献花とお焼香供物は供えられない原則として立ち会えない。埋蔵後に図面つきの文書で知らせる

2026年10月17日に要項・しおり・パンフレットで読んだ内容です。参れない日は、都立が毎月第4木曜(閉鎖日)、宝塚市が原則毎月第1火曜と書いていました。

都立は線香台があり、横浜市の新しい合葬式は線香・ろうそくを含む火気が禁止。民間の公開規則でも、Aは「献花は自由とするが、供物は供えないこと。」、Bは線香などの火気と供物を使えない、Dは管理者の線香台を使えば線香ができて供物・供花もできる、と分かれていました。

知恵袋では、民営の樹木葬の合祀墓を契約した人がこう書いていました。

霊園からは、契約の際納骨時の立ち合いは出来ないと言われました。(それで余計に不安)

聞いていたのは「埋葬が終わったらお知らせします、、とだけ」(2024年8月の投稿)。越生町のように、埋蔵後に場所を示した図面で知らせると書いている公営もあり、知らせ方も規則で確かめられます。

お参りの決まりは、申し込む本人より、あとでお参りする家族に効きます。千葉市のしおりは、遺骨を返せないことに続けて「ご親族でよく話し合い、理解を得ておくようお願いいたします。」と書いています。線香と立ち会いの欄は、家族に見せておくと納骨の日に話が食い違いにくくなります。

「管理料なし」の中身と、やめたときに戻る割合

公営の樹木葬は、年間の管理料がかからないか、最初に一括で納める形でした。都立・さいたま市・千葉市・相模原市・宝塚市は年間管理料なし、神戸市は使用料のみで「管理や承継は必要なく」と書き、横浜市の舞岡しぜん墓園は管理料1体66,000円を永年分まとめて納める(令和8年度の記者発表資料)、越生町は使用料に埋蔵から30年分の管理料を含みます。

公開されている民間の規則では、「管理料なし」の外側に別の費用が書かれていました。

  • Bは年ごとの管理費は不要としたうえで、「生前契約の場合には使用料とは別に、年 8,000 円の通信費を支払うこととします。」
  • E(永代型)は「最終埋蔵者が亡くなるまでの間は管理料を納入していただきます。」。管理料の未納が3年に及ぶと、最初の未納の時点にさかのぼって使用期間が始まる
  • Dは使用料に33年分の管理費を含むが、プレート代・骨壺の処理費・郵送納骨は別料金

公営でも、越生町は「別途、埋蔵に係る実費が掛かります。」と書いています。知恵袋では、樹木葬を契約している回答者が、亡くなるまでの管理費用も納骨後の管理費用も無料で「納骨時に10万円程度必要なだけ」と、納得した形で書いていました(2024年3月の投稿)。申し込みの時と納骨の時の支払いは、別の欄に書かれていることがあります。

厚生労働省の指針は「予測不可能な事態が生じたなどのやむを得ない事情がない限り、これ以外の部分で様々な名目で料金を追加するようなことがあってはならない。」と書いています。料金表に無い費用を言われたとき、どの欄の話かを尋ねる手がかりになります。

やめたときに戻る割合

やめたときに戻る割合は、規則によって0から全額まで分かれました。全額が戻るのは、利用許可から1か月以内(さいたま市)と、遺骨を送る前(送骨型の規則G)の2つだけで、ほかは0から9割の間です。樹木葬ではなく海に撒く場合の、申し込み後の取り消しや延期のお金は海洋散骨のデメリットで調べています。

規則戻る割合条件
東京都(樹林型)使用料の半額未埋蔵で、使用許可日から3年以内
宝塚市使用料の半額(記名板使用料は除く)埋蔵しておらず、使用許可日から5年以内
相模原市50%未使用で2年以内
さいたま市全額/5割/3割(市の規則第20条)未利用で、利用許可から1月以内/1年以内/2年以内
横浜市(舞岡 合葬式)「一切返還できません」—
千葉市「一度納めた使用料は返還できません。」—
越生町条例第14条「既納の使用料は、返還しない。」。パンフレットは「使用許可決定後の取下げ及び使用料の返還はできません。」—
規則A使用料は「使用の有無にかかわらず返還しない。」—
規則B使用料の5割埋蔵しておらず、成立後12か月以内
規則C使用料の8割植樹も埋蔵もしていない場合
規則D使用料の5割埋葬しておらず、使用許可の日から1年以内
規則E納入金の90%/50%墓碑等が未建立で、契約後3カ月未満/3か月以上3年未満
規則F既納の使用料と諸費は「返還されないものとする」—
規則Gサービス利用料の全額/郵便費用を差し引いた額/0%遺骨を送る前で送骨パックも発送前/遺骨か送骨パックの発送後/粉骨作業の実施以降

さいたま市の募集のしおりは「期間に応じた還付割合」とだけ書いていて、割合そのものは市の墓地及び納骨堂規則の第20条にありました。しおりだけでは割合が分からない例です。越生町の条例第14条は、埼玉県で墓じまいの補助金はもらえるのかでも、公営の墓地をやめたときに使用料が戻る規定の1つとして引いています。

公営は令和8年度の募集資料(2026年10月17日に読んだもの)で、年度で変わることがあります。条件のほとんどは、まだ納めていないことと、許可や契約から何年以内か、の2つ。数え始めはここでも使用許可日や契約日で、生前に申し込んで数年たつと戻る割合がゼロになる書き方が多く見られました。

いつから「申し込んだ」扱いになるかも確かめたい点です。知恵袋には、見学の場で「契約は振り込みをしたらという話で、署名だけくださいと言われて、サインをしてしまいました。」という当事者の質問がありました(2021年5月の投稿)。「契約書は注文書となっており、約款などはありません。」とも書いています。厚生労働省の指針は、契約に際して「契約書及び重要事項の説明書が作成されていること」を挙げています。申込書を出した時点か、入金した時点か。申し込んだ扱いになる時点は、規則の申し込みの欄で確かめられます。

申し込む前に、規則のどの欄を読むか

規則は「使用規則」「使用規定」「運用規則」「規約」「利用約款」と呼び名が違い、公営なら募集のしおりの「ご注意」「注意事項」や条例の条です。申し込む前にこの書類をもらい、次の欄を探してください。

規則を読んでも分からない欄は、申し込む前に霊園に尋ね、答えを書面でもらっておくと家族と見返せます。署名や支払いのあとで話が食い違ったときは、消費者ホットライン188(いやや)で最寄りの消費生活センターに相談できます。

決めておくことは2つです。生前に自分の分を申し込む人は、使用期間の数え始めの1行を読んだうえで、自分が亡くなったあとに家族が何を申し出られるかを家族に伝えておくこと。親の遺骨をこれから納める人は、納める期限と立ち会いの欄を見て、納骨の日に誰が行き、埋蔵の知らせを誰が受け取るかを決めておくこと。