群馬県で墓じまいの補助金が出るのは太田市だけか
太田市だけです。ただし太田市民なら誰でも使える制度ではなく、市営の八王子山公園墓地を利用している人に限られます。市内にある寺院墓地や民間霊園の墓じまいは対象外。
調べ方は3か所です。改葬(かいそう)の案内ページ、墓地担当課のページ、例規集。改葬とは、いまのお墓から遺骨を取り出して、別の墓地や納骨堂に移すことです。群馬で1つ足したのは、例規集を「ほ」行だけで済ませず、墓地担当課のページで拾った施設名で引き直すこと。この違いが後で効きました。
県には制度がなく、県営の墓地もありません。群馬県の墓地のページに載っているのは経営許可の手続きで、埼玉県が持っているような公営墓地の一覧ページもありませんでした。県の名前で探しても、答えは市町村の側にしかない。改葬を許可するのも市町村長です。
「補助金」と呼ばれているものが撤去費の助成・使用料の還付・合葬墓への受け入れの3つに分かれること、そのどれもが自治体の墓地を空けるための制度であることは、埼玉県の63市町村を調べたときに整理しました。群馬もこの構造から外れません。太田市の助成の名目は無縁墓地対策で、対象は返還届を出して撤去を終えた利用者です。
「墓じまい 補助金 群馬県」で検索すると、1ページ目の10件のうち9件が業者の記事でした(2026年9月10日時点)。2位の遺品整理会社の記事は35市町村を並べたうえで、補助があるのは太田市のみ、他は2026年6月時点で確認できない、と書いています。答えは同じです。違うのはそこから先で、「確認できない」で止まっているぶん、読んだ人は自分の町の欄が空白であることの意味を判断できません。空白が「制度が無い」なのか「調べていない」なのかが分からないから。
役所に電話する側に回る前に、35件の担当課名と根拠URLを自分で埋めておきたかった。
太田市の助成金を原典で読む
上限20万円で、墓石の撤去が終わったあとに申請する制度です。
読みどころは、助成と使用料の組み合わせのほうにあります。助成は最大で20万円。一方、その八王子山公園墓地に納めた永代使用料は550,000円で、市の募集ページには「利用許可後3年以内に未利用の墓地を返還したときは、永代使用料の2分の1に相当する額を還付いたします。」とあります。未利用が条件なので、墓石を建てて何十年か使ったお墓を返す場面には当たりません。管理料も年額5,500円で、こちらの還付の記載もない。つまり太田市で墓じまいをする人が受け取れるのは撤去費の助成であって、55万円の使用料が戻ってくる話ではありません。
助成のページは2026年9月1日に更新されていて、受付終了・年度予算・申請期限の記載はありませんでした(2026年9月10日時点)。担当は花と緑の課(0276-32-6599)。改葬許可の窓口は市民課住民記録係なので、同じ市役所でも課が違います。撤去費のことを市民課に聞くと、たぶん一度回されることになる。
太田市以外で「戻ってくるお金」はあるか
公営墓地の使用料が戻る規定を持つ自治体は10ありましたが、墓石を建てたお墓を返す場面に当たるかどうかは、条文の書き方で分かれます。
太田市を含めると11自治体。条文を並べて読み比べると、書き方が3つの型に分かれました。
「未使用」が明記されている型(前橋・沼田・みなかみ・大泉・太田・富岡)
前橋市営墓地条例の第8条第1項は「納付した使用料及び管理料は、還付しない。ただし、使用許可を受けた日から3年以内に未使用の市営墓地を返還したときは、当該使用料の2分の1に相当する額を還付する。」。沼田市営墓地管理条例の第10条は「3年以内にその墓地の全部を使用しないで返還したとき」、みなかみ町墓地条例の第17条も「使用しないで返還したとき」、大泉町公園墓地条例の第10条は「3年以内に未使用の芝生墓地を返還したとき」。富岡霊園だけは期間の条件がなく、市のページに「未使用で区画を返還した場合、使用料の全額を還付します。」とあります。
未使用・未利用・使用しないで。表現は違っても、いずれも遺骨を納めていない区画を返す場合の規定です。墓石を建てたあとの墓じまいには当たりません。
「全部を返還」だけで、未使用の語が無い型(中之条・草津・東吾妻・嬬恋)
中之条町共同霊園の設置及び管理に関する条例の第13条は「既納の使用料及び管理料は還付しない。ただし、使用者が使用許可を受けた後3年以内にその使用場所の全部を返還したときは、既納使用料の2分の1の金額を還付する。」。東吾妻町の条例も同じ形で、草津町営滝尻原墓苑使用条例の第19条は「3年以内にその場所の全部を返還したときは、既納の使用料の半額を還付する。」に加えて、第10条第2項に「前項の場合において、町長は、使用料の一部を還付することができる。」という条項があります。
前の型と読み比べると、違いは1語です。片方には「未使用の」「使用しないで」が入っていて、こちらには入っていない。どの条例も返還の前に原状回復(更地に戻すこと)を求めているので、文言どおりに読めば条件は「全部を返すこと」と「期間」で、使ったかどうかは書かれていない、ということになります。ただ、これは条文の文言の話です。運用としてどう扱われているかは確認できていないので、当たるかどうかは町の窓口へ。
3年を過ぎた返還にも規定があるのは嬬恋村だけ
嬬恋村共同霊園の設置及び管理に関する条例の第13条には、還付する場合が2つの号に分けて書かれています。「(1) 使用者が使用許可を受けた後3年以内に当該使用場所の全部を返還したとき 既納使用料の2分の1を還付 (2) 使用者が使用許可を受けた後3年を過ぎて当該使用場所の全部を返還したとき 既納使用料の10分の1を還付」。
3年を過ぎたときの号を持つ条例は、今回の35市町村で嬬恋村だけでした。使用料は別表で田代地区430,000円・浅間地区320,000円と定められているので、条文の文言どおりなら10分の1は43,000円と32,000円に当たる計算になります。ただし村のサイトには霊園のページも改葬のページも無く、確認できたのは例規集の条文だけ。金額の扱いも含めて、役場に聞くところからです。
金額が条例に書かれていない型(高崎)
高崎市八幡霊園条例の第12条第3項は「既納の使用料は、還付しない。ただし、第9条の規定により使用許可を取り消された場合を除き、使用許可を受けた墓所を使用しないで返還したとき、その他市長が特別の理由があると認めたときは、その一部又は全部を還付することができる。」。「使用しないで返還したとき」に「その他市長が特別の理由があると認めたとき」が並ぶ形で、割合も条件も条文からは読めません。なお、高崎市の例規集で確認できた市営墓地の条例は、この八幡霊園条例だけでした。合併した地域に別の霊園の条例があるかどうかは、今回は見つけられていません。
戻らないと書いてあるのは渋川
渋川市の市有墓地のページには「墓所を返還する場合、納付済みの永代使用料及び管理料は返還しません。」とあります。原状復旧も利用者の負担です。明文で否定しているので、今回の集計では渋川市を「なし」に数えました。
こうして並べると、群馬で「墓石を建てたお墓を墓じまいしたとき、公式の文書から戻ると言えるお金」は、太田市の撤去費助成だけでした。未使用の語が無い4町村については、条文にその語が無いという事実までしか言えません。
35市町村の確認一覧
判定は「なし」24、「還付規定あり」10、「撤去費の助成あり」1です。
表に「公営墓地」の列を足したのは、群馬県に公営墓地の一覧ページが無いからです。埼玉県は「埼玉県内公営墓地・納骨堂一覧」を県が持っていて、そこを開けば還付の話が起きる市町村が分かります。自分の市に市営墓地があるかどうかを調べる入口が県の側に無いので、この列がその代わりになるように並べました。
ただ、この列にも「確認できず」が残っています。例規集に設置条例が無く、公式サイトにも霊園の案内が無い場合、本当に無いのか、載っていないだけなのかを外から切り分けられません。逆に、あることは分かっても還付の話にならない例もありました。片品村には村有の共同墓地がありますが、条例の第8条が「使用料は無料とする。」で、そもそも還付する使用料が発生しません。
補助金の代わりに、役所に電話する前に確認する3つ
手数料と窓口、公営墓地なら返還したときの条文、そして業者の説明の裏づけ。この3つでした。
①改葬許可の手数料と窓口です。手数料をウェブで確かめられたのは6自治体で、残る29は判断できません。窓口も割れています。市民課・戸籍係が受けている市町村と、環境課が受けている市町村の両方がある。伊勢崎市は環境政策課環境企画係、渋川市は環境課環境政策係。市民課にかけて回されることがあるので、最初に「改葬許可の担当はどちらですか」と聞くほうが早いと思います。
②公営墓地を使っているなら、返還したときの条文です。上で分けた3つの型のどれに当たるかで、聞くことが変わります。未使用が条件の型なら「墓石を建てた後の返還でも対象になりますか」、未使用の語が無い型なら「使用したあとでも還付されますか」、高崎市のように金額が書かれていない型なら「どんな場合にいくら戻りますか」。条例の名前と条番号を控えてから電話すると、担当の方も探す手間が減ります。
③業者の「補助金がある」には、自治体名と公式ページのURLを返してもらう。検索2位の遺品整理会社の記事は、太田市の助成の対象を「八王子山公園墓地など」と書いています。原典のPDFは「他墓地の墓石撤去費用は対象となりません。」なので、「など」に当たる墓地はありません。永代供養会社が出している全国の補助金一覧にも太田市の「最大20万円」が載っていますが、どの墓地が対象かまでは書かれていない。金額だけが独り歩きしやすいところです。
助成があってもなくても、遺骨を動かすには改葬許可証が要ります。伊勢崎市は公式に「墓じまい」というページを持っていて、手続きを6段階で示していました(今回開いた35自治体でこの名前のページがあったのは伊勢崎市だけ。ページの更新日は2024年9月11日、2026年9月10日確認)。
供養の方法を決める
墓地・霊園管理者にも相談の上、墓じまい後の供養方法を決める
受け入れ先と契約する
新しい受け入れ先での契約等の手続きを行う
改葬の手続きをする
改葬の手続きを行う(遺骨のある市町村へ申請する)
遺骨を移す
遺骨を移す場合には引っ越しを行う。もしくは散骨
墓石を撤去する
墓石撤去を石材店等に依頼する
敷地を返す
墓地・霊園等の敷地を処分または返還
太田市の助成は、この流れの後半に入ります。返還届を出したうえで、墓石の撤去が終わってから申請する順番です。撤去の明細書と領収書が要るので、石材店との精算が済んでいることも前提になります。
石材店に撤去の見積もりを頼む前に確かめること
太田市の助成を使うなら、見積もりの段階から、対象の墓地・申請の順番・書類を原典に合わせておきます。
制度が変わったら
ここに書いた数字は2026年9月10日のもので、来年は違っているかもしれません。
制度が閉じるときは静かに閉じます。千葉県市川市は原状回復費用の助成と使用料の還付を組み合わせた事業を持っていましたが、2026年5月に予算額に達して受付を終了し、9月16日に補正予算で受付を再開しました。どちらのときも、ページは残ったまま冒頭に一行が足されるだけでした(経緯は埼玉県の63市町村を調べた記事に書いています)。太田市に申請するつもりなら、まず受付が続いているかを電話で確かめてください。
逆に増えることもあります。新しく始める自治体が出てくることも、条例が改正されて還付の条件が変わることも。嬬恋村の10分の1のような条項が次の改正まで残るかどうかは、こちらには分かりません。
更新の方針はこうしています。年に1回、9月に35件を同じ手順で当て直す。今回「確認できず」で埋まった欄——公営墓地の有無と、6つの村の手数料——は電話で埋めます。自治体から制度があると連絡をもらえば、その場で直して取得日を差し替えます。次に当て直したとき、数字はどこか変わっているはずです。変わっていなければ、それもそのまま書きます。
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