孫の結婚式が決まると、70代の母と父の服をどうするかが、新郎新婦の親である私たちの宿題になります。相手の家と揃えるのか、母は着物がつらいと言っている、父は葬儀の礼服しか持っていない。迷う点はだいたいこの3つだと思います。
この記事では、式場紹介サイト・式場・礼装やドレスの事業者・結婚情報サイト・介助の事業者の書き方を2026年10月14日に読んで数え、留袖の料金と入館の時刻を式場の公式で並べました。決めるのは両家です。決めるための材料(書き方の分布・料金・時刻・確かめる5点)を、この順に置きます。
式場と結婚式の情報サイトは、祖父母の服装をどう書いているか
祖父母を名指しして服装を書いたページは、思ったより少数でした。書いている所でも、和装と洋装、黒の扱いで書き方が分かれます。読者の迷いが多い黒の扱いを、先に抜き出すとこうなります。
| 黒についての書き方 | 事業者 |
|---|---|
| 全身黒を避ける | 洋服の青山 ハレカリ、LULUTI(2つ) |
| 黒だけにせず色を足す・黒以外を挙げる | アニヴェルセル、東京ソワール、結婚準備.com(3つ) |
| 黒で揃える例を挙げる | DressPark(黒のドレスに黒の小物も「OK」と書く)、ケアエスコート(「シックな黒で統一する方」もいる)(2つ) |
| 黒や濃紺はやや重たい印象になりがち | 相羽(「黒や濃紺はフォーマルですが、やや重たい印象になりがち。」)(1つ) |
色を足すと書いた所の足し方は、それぞれこうでした。アニヴェルセルは「目立たないように暗い色のワンピースを選んでしまうと、喪服のような印象になる場合も。小物やジャケットで色身を加えて、華やかさも忘れずにしましょう。」。結婚準備.com(2021年)は「祖母の立場の場合、カラーは親族だからと黒にこだわる必要はなく、温かみのあるカラーやシルバーなど顔映えを明るくするカラーも人気です。」。東京ソワールは「インナーとボトムの色を黒で統一し、華やかなジャケットを羽織ると、全体が引き締まり、フォーマルな装いがより上品に仕上がります。」で、黒を土台にジャケットで足す向きです。介助の事業者のケアエスコート(2019年)は、ネックレスは「一連で長すぎないもの(全長40センチ前後)がベストです。」、スカーフやストールは「お洒落にも、冬の寒さや夏の冷房の冷え対策に使えます。」と書いています。知恵袋では、83歳の祖母の黒のパンツスーツを尋ねた2013年のスレッドで5回答のうち4件が明るい色やコサージュを足す提案、70代の叔母の黒のフォーマルスーツを尋ねた2006年のスレッドではパールの二連・三連や明るい色のコサージュが挙がり、ブラックフォーマルを華やかにしたいという2022年のスレッドの4回答も小物の提案でした。
ハレカリは「特に全身真っ黒のコーディネートは、喪服を連想させるとして結婚式にふさわしくない装いです。」と書き、DressParkは「親族なら「ブラックドレス×ブラック小物」コーデもOK。」と書いて、他の親族に黒留袖が多い場合には黒の組が馴染む、と続けています。
女性の黒の礼服(ブラックフォーマル)を慶事と兼用できると書いた紳士服チェーンや婦人フォーマルメーカーの公式ページは、見つけられていません。AOKIは「女性のブラックフォーマルは、黒のスーツやワンピース、ロングドレスなどが基本で、喪の場にふさわしい装いです。」と書いています。
和装と洋装も逆向きの書き方があります。お衣裳さわらぎ(2023年)は「70代・80代を超える年齢となった祖父母が参列されるケースも増えてきています。その場合は留袖が無難です。」と書き、そのすぐ後で、祖父母が参列する場合は年齢や体調などを最優先に衣装を選んでもらうように、と続けています。介助の事業者のケアエスコート(2019年)は「お祖母様の場合、やはり黒留袖が多い印象がありますが、高齢だったり、要介護の場合は、洋服がおすすめです。」。東京ソワールは、親族だから留袖でなければならないと考える必要はない、という書き方でした。
相手の家と揃えるかについては、結婚準備.comが具体的です。「一般的には、両家家族と親族の服装の格があっていれば、和装と洋装はどちらを選んでも問題はありません」として、新郎側の祖母が黒留袖で新婦側の祖母がアンサンブルドレスのような和洋の違いはOK、祖父のモーニングとブラックスーツのような格の差はNGという例を挙げ、「和装を選ぶ際には、相手の家の祖母の立場の方と、服装の格を合わせるよう新郎新婦や両家の親が話し合い調整をしてください。」と書いています。
母が留袖にするなら、料金より入館の時刻と用意する物を見る
留袖は、料金の差よりも、当日何時に会場へ入るかと、何を持っていくかの違いが大きい装いです。式場の公式と店のレンタルを並べました(2026年10月14日の表示・各事業者の例で、相場ではありません)。
| 事業者 | 留袖 | 着付け | 時刻・期限など |
|---|---|---|---|
| 明治記念館(式場の衣裳室) | 黒留袖 33,000~220,000円 | 13,200円 | 同館で挙式する場合の目安は、着付けのみが挙式の2時間30分前、着付け・ヘア・メイクが3時間前に来館。支払いは衣裳が現金のみ、着付け(美容室)は現金かクレジットカード |
| 神田明神 明神会館(式場) | 38,500円~ | 13,200円 | 申込は挙式日の3週間前まで |
| マイブライド(名古屋の店) | 33,000円/44,000円/55,000円 | 11,000円 | 自宅への派遣は同料金。仕上がり時間により早朝料金2,200円 |
| wargo(店で着付け) | 着物・着付け・小物込み 22,000円から | 込み | 「45分~90分ほどでお着付け」 |
※ 明治記念館・マイブライド・wargoは税込の表示。明神会館の料金には税の表記がありません。
明治記念館の衣裳ページには、和装の着付けを利用する女性が用意する小物として「腰紐4本、伊達巻2本、帯枕1個、帯前板1枚、タオル2~3枚 肌着、裾よけ、足袋、草履」とありました。手持ちの留袖を着るなら、同館の着付けページにある持ち込みの一覧が目安になります。着物一式(着物・長襦袢・帯・帯揚・帯締め・末広・草履・バッグ)と和小物一式(腰紐4本・タオル2~3枚・伊達巻2本・肌着・帯枕・裾除け・帯板・足袋)に分かれていて、これが揃っているかを先に見ておくと、当日の朝に慌てずに済みます。
来館の目安は明治記念館で挙式する場合のもので、会場ごとに違います。拘束される時間については、結婚準備.comが挙式と披露宴を含めると4時間から5時間程度と書いています。母の1日がどれだけになるかは、この2つを会場と式の予定で別々に確かめることになります。
着物がつらいと母が言うなら、相手の家への伝え方が知恵袋に残っています。2008年の質問のベストアンサーは、相手方に「列席予定の祖母が足が悪く、着物はつらいと申しておりますので、洋服で参列させていただいてもよろしいでしょうか。」とお伺いを立てる案でした。2013年の回答にも、相手方の祖母が留袖なので事前に伝えてお詫びした、という実例があります。
洋装にするなら、商品ページで確かめる5つ
ここで引く5点には、介助が必要な場合を前提に事業者が挙げた点が混ざっているので、母に当てはまるかで見てください。トイレ・着脱・ウエスト・丈・冷えの5つのうち、前開き・ウエスト・冷えの3つは3者以上が、トイレと丈の2つは2者が挙げていました。式場では、アニヴェルセルが「年齢を考慮し、ウエストがゆったりとした服や、長時間身につけていても負担にならないものを選ぶのもコツですよ。」と書いています。
出どころの前提はこうです。ケアエスコートは結婚式の介護・車椅子介助の会社で、2019年の記事。パンツを勧める理由は「介助がある場合でも、ない場合でも」お手洗いで脱ぎ着しやすいから、としている一方、ウエストのゴムと丈の話では車椅子の場合を挙げています。ゼクシィの記事にある、トイレで席を立つと戻ってくるまで1回約20分という話も、介護の必要な人についての数字でした。70代なら全員に当てはまる話ではありません。
母がどれに当てはまるかが決まったら、商品ページの表記をこの5点で読みます。下の2つは、表記の向きが違う2着です。
| 5点 | 東京ソワール 羽織風ワンピース | ニッセン 3点セット パンツスーツ |
|---|---|---|
| サイズ | 15号・17号・19号 | S・M・L(号との対応はサイズ表の画像) |
| 前開き・着脱 | 「お着替えが簡単な前開きファスナー仕様です。」 | ジャケットは前ホック、ブラウスは後ファスナー |
| ウエスト | ウエストとヒップにゆとりを持たせたプラスサイズ | パンツは「ウエスト後ゴム入」(前はファスナーとホック) |
| 丈と形 | 着丈104cm前後のワンピース(基準身長158cm) | ジャケット・ブラウス・パンツの3点 |
| 洗えるか | 「ご自宅で洗濯可」 | 「洗濯機OK(ネット使用)」 |
東京ソワールのワンピースは、メーカー自身が挙げた前開きに合い、「ご自宅で洗濯可」の表記もある1着です。一方で着丈104cm前後の一体型なので、ケアエスコートが注意を挙げたロングスカートとワンピースに当たり、母の身長と着丈を比べてから決める側に入ります。色はネイビーのみで、相羽は濃紺について「黒や濃紺はフォーマルですが、やや重たい印象になりがち。」と書いています。サイズは15〜19号の3つで、価格は4万円台。
ニッセンのパンツスーツは、パンツのウエストの後ろゴムと、上下に分かれた形がケアエスコートの項目に合います。前はファスナーとホックなので、総ゴムではありません。価格は2万円前後で、色の組は「オフベージュ系+黒+黒」とネイビー系の2つ。黒の組でもジャケットはオフベージュ系です。
小柄な母なら、ニッセンの楽天市場店には小さいサイズ(PSS〜PL)の3点セットもあります(2026年10月14日時点。12通りすべて在庫があり、こちらはジャケットが手洗いの表記)。一度きりと割り切るなら、ドレスのレンタルは1万円未満からあります(おしゃれコンシャス・6泊7日・2026年10月14日の表示)。ニッセンの楽天市場店は、お客様都合(サイズ違い・イメージ違い)の返品・交換を受け付けていないので、サイズは注文前に決めておくことになります。
足元は、母が今履いている靴から見る
靴は、新しく買う前に、母が普段履いている靴で足りるかを見るのが先です。ケアエスコートのよくある質問は、フォーマルな靴が無いという相談に「ご自宅やご入居先で普段お履きになられている靴でも問題ございません。」と答えていました。
手持ちの靴が合わず新しく用意するなら、商品ページの表記が8つのポイントのうち5つ(ヒール・中敷き・脱げにくさ・軽さ・ゴム底)に対応する1足があります。ヒール高3.5cm、スナップボタン式のストラップ、アウトソールはゴム底、低反発インソール、片足157gという表記です。つま先が反り上がっているかの表記は無く、形はポインテッドトゥでした。価格は6千円台。
ストッキングの色は、福助の満足コラムの一文を喪服のストッキングの記事で引いています。
父は手持ちの黒の礼服で出られるか。替えるのは主にネクタイ
父が葬儀で着ている黒の礼服が、礼服(ブラックスーツ)として売られている黒の上下なら、紳士服チェーンは結婚式にも着られると書いています。替えるのは主にネクタイで、青山はシャツや靴も合わせて調整するよう書いています。
洋服の青山のAOYAMA Journal(2026年1月28日)は「ブラックスーツであれば、慶事と弔事のどちらにも着用できます。もちろんネクタイを付け替える必要はありますが、ブラックスーツを一着持っていればほとんどの冠婚葬祭で困ることがありません。」と書き、同じページのQ&Aで「デザインが喪服特有のものは避けましょう。」「ただし、ネクタイや靴、シャツなどを冠婚葬祭に合わせて調整しましょう。」としています。AOKI(2025年8月27日)は「喪服は、弔事で着用する「礼服」の一種であり、慶事では着用できません。一方、礼服は慶弔両方で着用できるものを指します。」と定義したうえで、男性のブラックスーツを冠婚葬祭で着用可能としていました。「喪服」という語の使い方が店で違うので、ここでは礼服として売られている黒の上下を指しています。
結婚式で避けると書かれているのは黒いネクタイです。ホテル椿山荘東京は「喪服を連想させる黒いネクタイの着用は避けるようにしましょう。」、相羽は「黒タイは葬儀用ですので、結婚式では避けましょう。」。ネクタイの色は、ハレカリがホワイト・シルバー・グレー、相羽がシルバーか白を挙げています。
相手の家の祖父がモーニングなら、結婚準備.comの言う格の差の話になります。明治記念館の衣裳室では、モーニングのレンタルは27,500円、ブラックスーツは16,500円でした(2026年10月14日)。父の礼服がまだ無い、裾が合わないといった場合は、イオンのメンズ喪服(礼服)の通販の記事に通販の礼服と股下の測り方を、ユニクロの記事の「礼服として売られている通販品と並べる」に裾上げ済みの2つを並べています。
白とシルバーを、黒と同じ商品ページで選べるネクタイです。葬儀用の黒を持っている父なら、慶事用の白かシルバーを1本足す形になります。価格は千円以内。
決めておくこと
母と父の服を決める前に、次の4つを決めておくと、あとで迷い直さずに済みます。
1つ目は、相手の家に服装を一言伝えること。結婚準備.comは服装の格を合わせるよう両家の親が話し合うよう書き、知恵袋の祖母の15回答のうち2件も、相手方へ前もって伝えることを挙げていました。母が洋装、父がブラックスーツと決まったら、その一言を伝えるのは新郎新婦の親である私たちの役目です。
2つ目は、母と父が会場に入る時刻。留袖なら挙式の2時間半前から3時間前が明治記念館(同館で挙式する場合)の目安で、洋装なら控え室の開く時刻(明神会館は挙式の1時間前から)が基準になります。
3つ目は、席次を新郎新婦に頼むこと。ゼクシィの記事では、先輩花嫁のアンケートで6位だった「席次への配慮」として、トイレへ行きやすいように出入り口付近に席を用意することが多い様子だと書かれていました。決めるのは新郎新婦なので、母と父の席の位置は頼む形になります。車椅子を使うなら、明治記念館のように貸し出しがある会場もあります。
4つ目は、ひざ掛け。ゼクシィの同じ記事は「お年寄りは男女を問わず足元が冷えやすいため、夏場でもひざ掛けがあると安心なのだそう。」と書き、会場で貸し出せるかを確かめる項目に挙げていました。持参するか会場で借りるかを決めておきます。
喪服・礼服には、葬儀と法事の服の記事も置いています。