冬の通夜や告別式の知らせが来て、喪服の上に着るコートが無いと気づく。喪服用を1着買うか、手持ちのコートで行くか、そもそも喪服のコートはいらないのか。
公営斎場(市や組合が設けた、火葬場を併設する斎場)の公式ページ11件、葬儀社などがコートについて書いた記事13本、Yahoo!知恵袋の25スレッド、喪服用コートの売り場を、2026年10月14日に読んで数えました。斎場の設備はページに書かれている範囲の話です。葬儀社の自社会館の設備は、会館ごとの案内で確かめてください。
喪服のコートがいるかは、外にいる時間を決める3つの分かれ道で変わる
「いらない」側の答えから書くと、葬儀社勤務の人の個人ブログ、考える葬儀屋さんは「マナー上、お通夜お葬式の服装として、必ずコートを着用しなければいけない、というわけではありません。」と書いています。いるかどうかを分けるのは、会場の中より、会場に着くまでと出てからの外にいる時間です。公営斎場の公式ページを読むと、火葬を待つ場所は記載のある10件すべてが待合室・待合ホール・ロビー・控室といった屋内で、屋外で待つと書いた公式は11件の中にありませんでした。
火葬の間は屋内で1〜2時間待ちます(南多摩斎場の公式は火葬時間を「約1時間20分になります。」、千葉市斎場の公式は到着から帰りまでを約2時間程度と書いています)。知恵袋で寒かった場面として挙がっていたのは、通夜の夜、出棺の見送り、寝台車が出発するまで、お墓の前の読経や納骨、焼き場や墓地、電車での移動でした(25スレッド中6スレッド)。
外にいる時間の長さを分けるのは、次の3つです。
| 分かれ道 | 外にいる時間が長くなりやすい | 短くなりやすい |
|---|---|---|
| 移動の手段 | 電車・バス、駅から歩く | 車で会場の前まで |
| 立場 | 遺族の側(出棺のとき参列者の前に出る、と知恵袋2022年1月の回答) | 参列だけ |
| どこまで行くか | 火葬場、墓前の納骨まで | 通夜・告別式だけ |
脱いだコートをどこに置くかは、この3つとは別に、会場の種類で変わります。公営斎場では自分で持つかコインロッカーに入れる前提、葬儀社の会館なら会館の案内に従う、と分けると考えやすくなります。詳しくは3つ目の見出しに書きました。
知恵袋でも、同じスレッドの中で答えが分かれていました。2025年1月の相談には「(ただ、通夜は夜なのでめちゃくちゃ寒いです)」という回答と、「車での移動なら、不要です。」という回答が並んでいます。
遺族の側について、2022年1月の回答は「遺族の場合は出棺時に出入り口で挨拶したりするときに写真・位牌など持って参列者の前で挨拶に出たりしますからコートが人目についてしまいます」と書いています。納骨まで行く日については、2025年1月の回答に「お墓に納骨して、閉じてもらって、お墓の前でお経をあげてもらって…って意外と外にいます。」とありました。
冬の寒さの目安は、東京・大阪でも1月の日最高気温が10℃前後です(気象庁の平年値 1991〜2020年。2026年10月14日取得)。
手持ちのコートで行けるか
黒いコートが無いときの色は、読んだ13本すべてが紺やグレーなどを挙げていました。手持ちの濃い色のコートで行けるかを考える手がかりになります。ダウンは13本中10本が避ける側の書き方ですが、着る人が増えた、または着る人もいると添えた本も6本ありました。ここでは誰が何と書いたかを並べ、可否はこの記事では決めません。
毛皮やファーについて、くらしの友は「動物の毛皮を使用したコートは殺生を連想させるため、仏教上の観点から望ましくないものだと考えられています。」、小さなお葬式は「動物の毛皮で作られたファーコートや、ファーが装飾されているコートはお葬式に適切とはいえません。」と書いています。知恵袋にも「襟のファーは外せるものなら外してください。」という回答があります(2016年1月)。ペットの見送りの服装でも同じ理由を挙げた案内がありました(ペット火葬の服装)。一方で売り場には、商品名にファーと入った喪服用コートも混じります(Yahoo!ショッピングの検索1ページ目30件のうち、2026年10月14日時点で少なくとも2件)。
手持ちのコートを見直すときの手がかりとして、家族葬のファミーユは、会場に着く前にコートを脱いだり裏返しにしたりする気配りを挙げ、ニッセンは「室内に入ればコートは脱ぐことになるので、裏地も派手なものは避けましょう。」としています。腕にかけたり裏返したりすると裏地が人の目に入る、という前提で見ると判断しやすくなります。
葬儀マナーの解説サイト(nara-seikaen.com)は「屋外での移動時間が短い場合やクロークのある式場では、コートを着ずに済むこともあります。」と書いています。
コートを買わない場合の形も、読んだ中にありました。白香苑は「どうしても防寒が必要な場合は、インナーダウンを着用し、その上からウールコートを羽織る方法もあります。」と書き、マフラーや手袋は「黒やダークグレーなど落ち着いた色を選ぶことが大切です。」としています。nara-seikaen.com も、黒いウールマフラーやシンプルな手袋、貼るカイロを挙げていました。
脱いだコートはどこに置くか
公営斎場で式をするなら、脱いだコートは自分で持つか、コインロッカーに入れる前提で考えると当日の動きが読めます。葬儀社の自社会館の設備は確かめていないので、会館で式をするなら、その会館の案内に従ってください。公営斎場の公式ページ11件を読むと「クロークがある」と書いたページは0で、収骨のとき荷物を持って移ると書いた施設が2件でした(2026年10月14日)。
同じ斎場でも、式場によって違います。四ツ木斎場は、運営する東京博善の公式が20〜40名用の式場「蓮」の説明で専用のクローク・受付スペースを備えると書く一方、斎場の案内サイトを運営する葬儀社(フェイスセレモニー)は「常設のクロークサービスはありません。」とし、「冬場のコート類は、そのままお持ちいただき、焼香時の一時預かりをご利用いただくか、ご自身の席に置いていただく様お願いいたします。」と書いています。
葬儀の口コミサイト(soogi.jp)は「葬儀の会場が会館であれば、受付にクロークがあります。」と書いていて、公営斎場の書き方とは向きが違います。知恵袋にも、2025年11月に「割と大きい斎場だったので、クロークが有ると思って、ベージュのコートで行ったのですが、「手荷物は全て自分で持っていてください。」だった。」という体験がありました。2025年1月の回答の「葬儀場入り口で預かってくれると思うので、心配なら事前に電話で聞いておきましょう」のとおり、会館で式をするなら案内を見るか聞くのが近道です。
脱ぐ場所は、葬儀社などの13本中12本が、コートを脱いでから参列する形で書いていました(天礼社は記載なし)。受付の前で脱ぐと書いたのがくらしの友・ゲートハウス・白香苑の3本。考える葬儀屋さんは「少々寒いかもしれませんが、玄関前か、風除室があるならそこで脱いでおくことをおすすめします。」と書いています。クロークは、あれば預け、なければ手に持つという条件付きの書き方が6本でした。
持ち方は、小さなお葬式が「受付で預かってもらえる場合は預け、預けられない場合は畳んで手に持ったままお葬式に参列しましょう。」、花葬儀が「クロークがある場合はクロークに預け、無い場合は丁寧に畳んで手で持ちます。」と書いています。2016年12月の知恵袋の回答には、黒っぽい袋に入れて手に持つという方法も挙がっていました。
収骨のときは、馬込斎場としおかぜホール茜浜の手引き(令和3年6月)が「控室(しおかぜホール茜浜は待合室)には戻りませんので荷物をすべてお持ちください。」と書いています。収骨のとき荷物を持って移ると書いた施設は、読んだ11件のうちこの手引きと福岡市の2件でした。読んだ範囲では、公営斎場で脱いだコートの行き先はコインロッカーか自分の手元(久保山は休憩室のハンガーラック)なので、たたみやすさや裏地まで見ておくと選びやすくなります。
買うなら何を見るか
喪服用として売られているコートは1万円未満から24万円台まであり、値段より先に、素材・丈・サイズ・撥水とライナー・家で洗えるかの5つを見ると比べやすくなります。売り場ごとの値段の幅は次のとおりでした。
素材はウールかポリエステルか、丈はサイズごとの数字が書かれているかを、商品ページで見ます。丈について、くらしの友は「膝が隠れるくらいの長さのものを選ぶことが一般的です。」と書いています。年に数回しか着ないなら、家で洗えるかと、手持ちの喪服の号数がサイズ展開に入っているかも見ておきたいところです。
レディースで、5つの点を商品ページの表記で確かめた3着を並べます(書かれていないものは「記載なし」)。
| 京都スタイル カシミヤ入り フォーマルコート 274(110cm丈・比翼ボタン) | 秀英産業 軽量フォーマルコート(日本製・撥水・ポリエステル100%) | 洋服の青山 フォーマル対応 ステンカラーコート レディース(撥水・保温中綿ライナー) | |
|---|---|---|---|
| 価格 | 12,800円 | 9,878円 | 32,890円 |
| 素材 | 表地 毛90%・カシミヤ10%/裏地 ポリエステル100% | ポリエステル100% | 表地 ポリエステル100%/裏地 レーヨン56%・ポリエステル44%/ライナー ポリエステル100%(中綿 ポリエステル100%) |
| 着丈 | M 110cm/L 111cm/LL 112cm/3L 112.5cm | M-L 100cm/LL-3L 101cm | 「ロング丈」(数字の記載なし) |
| サイズ展開 | M・L・LL・3L(3Lは13,800円) | M-L(バスト79-94)・LL-3L(バスト93-108)の2サイズ | 7・9・11・13・15・17号 |
| 撥水とライナー | ライナー無(楽天の商品属性「ライナーの有無(アウター類):無」)。撥水の記載なし | 「はっ水(水をはじきやすい)」。ライナーの記載なし | 「撥水加工」。取り外せる保温中綿ライナー |
| 家で洗えるか | 洗濯方法の記載なし | 「備考:洗濯ネットを使用してください。」の1文のみ | 洗濯方法の記載なし(テキストで確認できず) |
| 楽天市場で見るYahoo!ショッピングで見る | Yahoo!ショッピングで見る | 楽天市場で見るYahoo!ショッピングで見る |
ウール混は京都スタイルだけ。撥水と書かれているのは秀英産業と洋服の青山で、取り外せるライナーは洋服の青山だけです。秀英産業は、2026年10月14日の時点で大きいほうのサイズ(LL-3L)が在庫なしだったので、表の列だけにしています。
京都スタイルは、ウール混でM〜3Lの4サイズそれぞれに着丈が書かれているので、手持ちの喪服に合わせて丈をサイズごとに確かめたい人向きです。
洋服の青山は、取り外せるライナーとカイロを入れるポケットが付いているので、火葬場や納骨まで外にいる時間が長い人向きです。発送は商品ページが「当店の注文確認メールより、3日〜8日で商品を発送します。」、注文画面の表示が「4〜8日後に発送」でした(2026年10月14日)。
父や夫の分を用意するなら、ユニクロではウールカシミヤチェスターコートが黒の色展開のあるメンズのコートで、価格帯は2万円弱でした。サイズごとの着丈が書かれ、ゆったりのAB体まで選べるメンズのロングコートなら、次の1着が体型で選びたい人向きです。
決めておくこと
コートを買うか手持ちで行くかは、葬儀の知らせが来てから慌てて決めるより、冬の前に次のことを家族で見ておくと迷いが減ります。
親の分を用意する場合は、親が今持っているコートの色と丈、裏地を一度見ておくと、買うかどうかの判断が早くなります。買うなら、親の喪服の号数がサイズ展開に入っているか、その号数に在庫があるかを冬の前に見ておくと、知らせが来てから探し回らずに済みます。
喪服そのものの用意は喪服がない場合に今できることに、父や夫の分の黒いスーツはユニクロで喪服(メンズ)を探すときに書いています。喪服・礼服には、ほかの記事も置いています。