年齢で着るものが決まるという話は、どこまで本当なのか。検索すると「着てはいけない服10選」のような記事が並びます。
その中身を数えました。2026年9月18日に検索結果の上位を取り、動画やSNSを除いた14記事を読んでいます。
なお、この記事は女性向けです。検索結果には男性向けの記事も混ざりますが、サイズ表を公開している通販が女性向けに偏っているため、確かめられる範囲に絞りました。
「着てはいけない」と書いている記事に、根拠はあるか
14記事のうち、調査やデータを示していたのは1記事だけでした。
唯一の例外が「60代着てはいけない服9選」です。この記事はクラウドワークスで50代60代の10名にアンケートを実施し、結果を載せていました。
ただし結果のほうが興味を引きます。「60代で着てはいけない服はあるか」という問いに、「ある」と答えた人が30%、「ない」と答えた人が70%。10人中7人が、そんなものはないと答えていました。
回答者は10名で、しかも「50代60代の方」とあります。60代の人だけに聞いた調査ではありません。実施時期の記載もない。数字としては弱いものです。ただ、14記事の中で唯一のデータが「NGはない」と言っているという事実は、記録しておく価値があると思います。
なお、その記事自身は「9選」と題したNGリストを掲げています。調査では7割が「ない」と答え、記事としてはNGを並べている。読む側としては、どちらを受け取ればいいのか迷うところです。
何が挙げられているかは、ここでは数えません
どの項目が何回出てきたかを数えることもできます。ただ、それをすると結局NGリストがもう1つ増えるだけです。
読者が受け取るのは「露出・サイズ・若作り・派手な柄」といった言葉で、それは既に14記事に書かれています。この記事で足せるものがありません。
数字で確かめられることは、サイズだった
14記事のうち、寸法の数字を出している記事はゼロでした。
サイズについては触れられています。「サイズが合わない服」「サイズ感が合っていない服」という形で挙がる。けれど何センチなのかは書かれていません。大きすぎる、小さすぎる、という形容だけです。
一方で、通販各社はサイズの数字を公開しています。
ここから分かることが2つあります。
記号が似ていても、対応する寸法は違います。 ニッセンの専用ラインのFMはバスト89〜97cm。同社が「一般的な商品より10cm大きい」と書いているので、一般商品のMが対応するバストの範囲はそれより小さいことになります。FMとMは別の記号ですが、どちらもその店の中ほどのサイズとして並びます。同じ店の中でも、ラインが違えば基準が変わるということです。
そして選択肢の幅が店で違います。 ベルーナは画面によって8段階から13段階、ニッセンは専用ラインを別に持っていました。「Lが入らない」と思ったとき、それは体の問題ではなく、その店の刻みがそこまでしかないという場合があります。
自分の寸法を測っておく
店ごとの表記に振り回されないためには、自分の数字を持っておくのが早道です。
ヌードサイズとは、服ではなく体そのものを測った寸法のことです。さきほどのニッセンの表がこれにあたります。一方、商品ページに載っている「着丈」「身幅」は服そのものを測った数字です。同じ表に並んでいても別のものだと覚えておくと、混乱しません。
サイズに着目したのは、以前アパレルの店で働き、シニアのお客さまの接客もあったからです。ただし経験そのものは根拠になりませんので、ここでは公開されている数字だけを並べています。
色については扱いません
14記事のうち何本かは色に触れています。避けるべき色として、くすんだ色、真っ赤、鮮やかな黄色などが挙がっていました。
この記事では扱いません。何色が似合うかは顔立ちや肌の印象に関わる話で、写真も見ずに判断できることではないからです。数字や表示で確かめられることに絞ります。
どこで買うか
サイズの刻みが細かい店を選ぶ、という基準は使えます。ベルーナは大きいサイズまで段階があり、ニッセンは専用ラインを別に持っている。どちらも通販で、商品ページに寸法が載っています。店頭で探すより、数字で絞り込めるぶん確実です。
ただし通販は、買う前に試着ができません。届いてから着てみて、合わなければ返すことになります。だから返品の条件を先に読んでおくと、どこまで試せるのかが分かります。
ここが店によって違いました。
差が出たのは2つでした。
まず期限が倍近く違います。 ニッセンは到着後8日以内、セシールは15日以内。届いた箱をしばらく置いてしまうと、片方はもう期限が切れています。
そして試着のルールを文章にしているかどうかです。 ニッセンは「ご試着の範囲に限られる場合のみ、返品をお受けいたします」とした上で、室内で商品タグは外さずに試す、素肌に直接触れるものは服の上から試す、かぶって着るものはスカーフで顔を覆う、といった手順まで書いていました。どこまでやったら返せなくなるかが読み取れます。
これは数字で選んだあとの最後の一歩に効きます。手元の寸法と商品ページの数字を突き合わせても、着てみるまで分からないことは残る。そのときに試していい範囲が書いてあれば、迷わずに袖を通せます。
返せなくなる条件のほうも読んでおく
同じ案内には、返品を受けられない商品の一覧もありました。服に関わるものを抜き出します。
見落としやすいのはお直しです。丈が長いから裾を上げた、という時点で返せなくなります。直すかどうかを決める前に、そもそも寸法が合っているかを確かめる順番になります。
においも条件に入っていました。試すのは室内で、短い時間で、ということになります。
返送のしかたにも条件がありました。着払いで送った場合は送料相当分を請求する、と書かれています。会員が指定の返送方法を使った場合は店の負担になる、ともありました。同じ「返送料は無料」でも、送り方を間違えると変わってきます。
そしてサイズの交換について。ニッセンでは交換は「返品と再注文」の形をとると書かれていました。別のサイズに替えてもらうのではなく、いったん返して買い直す流れです。
案内にはもうひとつ、「過度なご返品(ご注文のたびに半数以上のご返品等)が続くと、当社基準により取り引きをお断りする場合がございます」という一文がありました。迷うサイズを2つとも注文して片方を返す、という買い方を繰り返すと断られることがある、という意味になります。返品は試着の代わりになりますが、無制限ではありません。
返品の条件は変わります。ここに書いたのは2026年9月18日に読んだ時点のもので、注文の前にその店の案内を見てください。
手持ちの喪服の丈で悩んだときも同じで、喪服スカートの丈が長すぎる気がするときに床から測る手順を書きました。すぐに喪服を用意する場合の条件は喪服がない場合に今できることにまとめています。
結局、何を基準にするか
14記事を読んで残ったのは、根拠の薄さでした。
「着てはいけない」と書かれていることの大半は、書き手がそう思うという話です。唯一データを持っていた記事では、10人中7人が「ない」と答えていました。
代わりに確かめられるのは、自分の寸法と、店が公開している数字です。バスト・ウエスト・ヒップを測り、手持ちの服の身幅と着丈を控えておく。それだけで、商品ページの数字と突き合わせられます。
似合うかどうかには好みが関わります。けれど寸法が合うかどうかは、数字が手がかりになります。
同じように表示で確かめられるものに、シルバーカーがあります。シルバーカーに見えないものを選ぶ前にでは、押す道具と体を支える道具が公的な基準で別々に定義されていることを書きました。ほかの持ち物の記事は60代の持ち物から、喪服については喪服・礼服から見られます。