葬儀社から持ち帰った遺影の額縁が重い、壊れた、棚に置きたい。そう思って「遺影 額縁」や「四つ切 額」で探すと、同じ「四ツ切」という名前で、大きさの違う額が並びます。葬儀の遺影写真は写真の四つ切(254×305mm)かA4が一般的ですが、額縁の世界の「四ツ切」は別の寸法のことがあるからです。

私は2026年10月12日に、写真店と葬儀社の解説、額縁店のサイズ表、遺影額のメーカー5社(万丈・ナカバヤシ・ハクバ・King・ケンコー・トキナー)と葬儀社向けメーカーのみづまの公式ページ、知恵袋の質問10件を読み比べました。額の数字は、商品ページの表記です。親の遺影を家で飾り直そうとしている方に向けて書いています。

先に、手元の遺影写真の大きさを測ります

額を選ぶ順番は、写真の大きさが先です。額の外側を測っても、中の写真の大きさはわかりません。額縁店の東芸フレームも、サイズ表で「ほとんどの方は額縁の外の寸法を測りますが、あまり意味がありません。入れる紙(作品)を測ってください!」と書いています。

裏ぶたを開けられるなら写真そのものを、開けたくなければ、ガラス越しに見えている範囲(マットの窓)と、額の裏から見た写真の縁を測ります。写真店のカメラのキタムラは、遺影写真のサイズに「明確な決まりがあるわけではありません」としたうえで、祭壇用は「四つ切(よつぎり)サイズ(254mm×305mm)か、A4サイズ(210mm×297mm)が選ばれます」と書いています。葬儀社の小さなお葬式も、祭壇用は四つ切かA4が一般的としています。

写真の呼び名写真の大きさ使われる場所(キタムラの説明)対応する額
四つ切254×305mm祭壇用八〇(はちまる)・太子判の肖像額、写真用の四ツ切額
A4210×297mm祭壇用A4の肖像額
2L127×178mm焼香台用2L
L判89×127mm焼香台用L判

キタムラは、葬儀では「祭壇用」と「焼香台用」の2種類を用意すると書き、焼香台用の小さい写真は「葬儀の終了後にも自宅の仏壇や部屋に飾ることを想定して作られる場合が多い」としています。大きい額を買い替える前に、葬儀社から小さい写真を受け取っていないかも探してみてください。見つかれば、仏壇や棚にはそちらを飾る、という分け方もできます。

知恵袋で「葬儀の時の遺影の写真たて?額縁?が重く、軽いのに入れ替えたい」と尋ねた人(2016年)は、写真が「縦30.5cm 横25cm」と測ってから質問していました。回答は3件とも「四つ切」。測ってあれば、ここまでは迷いません。

額の表記は八〇・太子判・四切判などに分かれ、見るのは窓と収納の寸法です

四つ切の写真に合わせた遺影の額は、メーカーによって「八〇(はちまる)」「太子判」「四切判」と表記が違い、売り場では「肖像額縁」という商品分類で置かれていることもあります。知恵袋で額を壊した人に、ベストアンサーは「「肖像額縁」で表示がされているかと思います」と答えていました。

八〇と太子判は同じ大きさの別名です。ハクバは「太子判サイズ(別名「八〇(はちまる)」サイズ)」と書き、浅沼商会(King)も、太子判は「八〇(ハチマル)サイズとも呼ばれ」と説明しています。

表記が揃っていない以上、比べるのは数字のほう。商品ページで見るのは次の2つです。

  • 収納の寸法(収納用紙サイズ・対応写真サイズ・内寸など、欄の名前は各社で違う): 額の中に入る紙の大きさ。収納寸法として書いていた3社(ナカバヤシ・ハクバ・ケンコー)の値は横287〜292×縦378mm
  • マットの窓(マット窓サイズ・マット中抜寸法・マット内寸・窓寸とも書かれる): 台紙の穴の大きさで、写真の見える範囲。5社では横225〜230×縦280〜290mm

窓は、四つ切の写真(254×305mm)よりひと回り小さく作られています。写真の縁は台紙の下に隠れる、ということです。葬祭業者を名乗る知恵袋の回答者(2015年)も「四つ切サイズの写真は、額の大きさに比べたらずっと小さめです。その差を埋めるために4~5cm巾の白い厚手の枠が使われていると思います。」と書いていました。窓に写したい顔の位置が収まるかは、この数字で見当をつけられます。

「四つ切の額」で探すと、別の大きさの額が来ることがあります

同じ「四ツ切」の語が、写真・額縁店のデッサン額・画用紙で別々の大きさを指しています。東芸フレームはデッサン額のサイズ表で、八ツ切・四ツ切・半切について「写真サイズにも同様の呼称がありますね。しかし写真サイズとはほとんど関連がありません。」と書いています。

遺影ではありませんが、知恵袋には「ナカバヤシの四つ切画用紙用というのを買ったのに」画用紙が入らなかった、という質問(2019年)もありました。ベストアンサーは「四切りと一口に言っても色々あります。写真四切りとかぜんぜん違うサイズですよね。」。遺影で同じことが起きると、額が大きすぎて写真が泳ぎます。

検索語に「八〇」「太子」「肖像額」を入れると、写真の四つ切に合わせた遺影額の表記で探せます。それでも、最後は収納の寸法と窓の寸法で確かめてください。

比較した八〇・太子判の5品は、付属品にスタンドがありませんでした

メーカー5社から八〇・太子判の額を1品ずつ選んで付属品を見ると、5品ともスタンドがありませんでした。置けない(掛けのみ)と明記していたのは万丈、スタンドなしと明記していたのはハクバです。

スタンドがないと明記していたのは万丈とハクバの2社。ほかの3社は吊りヒモなどの記載があるものの、スタンドの記載はありません。同じシリーズの小さい額には、Kingは「L,2Lサイズは背面にスタンドが付属」、ケンコーはL・2Lに「縦横兼用スタンド付」と書いていて、スタンドが付くかどうかは大きさで分かれていました。

外寸は34〜37×43〜46cm、重さは692〜1,230g。付属するのは吊りヒモや吊り金具で、鴨居や長押、壁のフックに掛ける分の道具は揃っています。知恵袋の2022年の質問(回答9件)でも、自宅の仏間に掛けていると書いた回答が3件、仏間に掛けるものだと書いた回答が2件ありました。

5品の価格は、Amazonの表示で2千円前後から4千円台でした。送料の条件は品によって違うので、Amazonの表示で確かめてください。ナカバヤシ・King・ハクバの3品を並べると次のとおりです。

葬儀用写真額縁(八〇)黒額金線入King 肖像額縁 八〇(太子判)肖像額縁 入山AZ 太子判サイズ 無反射PET ブラック
価格1,925円2,640円4,480円
対応サイズ八〇(四ツ切判写真用の平マット付)八〇(太子判)太子判(別名「八〇」)
収納寸法横292×縦378mm(収納用紙サイズ)収納寸法の欄はなし。額縁内寸 横285×縦366mm・マット外寸 横293×縦376mm横287×縦378mm(対応写真サイズ。マット外寸法 約288×378mm)
マット窓横225×縦281mm(マット窓サイズ)横230×縦290mm(マット内寸)約横226×縦287mm(マット中抜寸法)
外寸横340×縦426mm横347×縦428×厚14mm約横338×縦428×厚15mm
重さ1,230g692g約750g
面材ガラス(2.0mm厚)無反射PET(表は光沢・裏は無反射の2WAY。2024年5月17日の発売告知)無反射PET板
本体木製表記なし木製
掛け・置き掛け(付属品にスタンドなし)掛け(付属品にスタンドなし)掛け(スタンド なし)
付属品吊りヒモ・吊り金具・平マット台紙1枚・化粧函吊紐吊りヒモ・吊り金具(小2個、大1個)
Amazonで見るAmazonで見るAmazonで見る

いちばん軽いのはKingの692g、いちばん重いのはナカバヤシの1,230g。ハクバは「葬儀用リボンをかけても写真が見えやすいように、マットの上部が幅広」になっています(葬儀用リボンは付属しません)。

A4の遺影なら、掛けても立ててもよい額があります

手元の写真がA4(210×297mm)なら、八〇より一回り小さいA4の額に入ります。万丈のA4の肖像額は「縦横 掛け置き 兼用」で、縦横兼用のスタンドが付いていました。外寸は317×388mm、重さは570g。八〇の額と比べると、棚に立てる大きさに近づきます。

ただし窓は192×263mm。A4の写真でも縁が隠れ、四つ切の写真を入れると隠れる幅はさらに広がります(内寸267×340mmなので、四つ切の写真そのものは入る寸法です)。写真の切り詰めについては、知恵袋でも答えが分かれていました。先ほどの葬祭業者を名乗る回答者は、額のサイズを小さくする作業を「それに伴う切り取りも含めて」依頼を受けて何度もやっていると書き、別の回答者は「遺影のトリミングはお勧めしません。」と書いています。窓の寸法に顔が収まらなそうなら、写真店でその額に合わせて焼き直してもらう方法もあります。

今回見た通販の葬儀サイズは樹脂やPETが多く、L判はガラスでした

前面の透明な板は、額の重さと割れ方に関わります。今回見た通販5社の八〇・太子判では、ガラスはナカバヤシの1品だけで、ほかの4品は無反射の樹脂かPETでした。

葬儀社向けに遺影額を作っているみづまは、遺影額一般の説明として「遺影額には、基本的にガラスが使用されています。」と書き、続けて「ガラス破損によりけがをするなどの危険性がある場合があります。特に、小さなお子様がいる場合は、PETシートを使用いた額縁を選ぶことをお勧めいたします。」としています。葬儀社から持ち帰った手元の額がガラスかどうかを確かめておくと、買い替え先との重さの比べ方がわかります。

各社の書き方は次のとおりです。

  • ハクバ: 「PET素材なので軽くて割れにくく」「前面板は反射(映り込み)を防いでどの角度からも写真が見やすい無反射仕様」
  • 万丈: 「軽くて割れない、無反射樹脂タイプ」
  • King: 「八〇(太子判)のみPET素材」で、表(光沢)と裏(無反射)の「2WAY仕様」(2024年の発売告知)

L判の小さい額は、ハクバ・万丈・ケンコー・Kingの4社ともガラスでした。それでも重さは125〜170gです(4品の表は次の次の章にあります)。

額の色に決まりはないと、葬儀社も遺影額のメーカーも書いています

黒い額でなければ失礼か、という迷いには、書き手の答えが揃っていました。葬儀社の小さなお葬式は「遺影の額縁の色やデザインに指定やきまりはありません。」と書き、迷うなら黒・白・茶色から選び、家で飾るときに好きな色に入れ替える案も挙げています。

遺影額メーカーのみづまは「遺影額は多くの方が黒色でないといけない!と考えているケースが多いのですが、そのようなことは全くありません。」。知恵袋でも、同じ葬祭業者を名乗る回答者が別の質問(2015年)で「仏間の壁に掛けるといっても黒系でなければならないことも、もはや無いと言っていいでしょう。」と答え、質問した人は「結局、買ったのは天然木の額縁でした。」とお礼に書いていました。

メーカーの品揃えも、黒だけではありません。ケンコー・トキナーのカラー遺影額縁は、ピンク・ラベンダー・クリーム・グレー・ブラックの5色。同じシリーズにL判と太子があります。ただ、親族や菩提寺の考え方までは外の記事ではわかりません。気にする人が身近にいるなら、先に聞いておけば済む話です。

仏壇や棚に置くなら、L判・2Lのスタンド付きの額です

棚などに置く方法として、小さい写真をスタンド付きの額に入れる方法があります。L判の額は、今回見た4社ともスタンド付きで、面材はガラスでした。

メーカー・品(型番)外寸重さ面材スタンド
ハクバ 肖像額縁 入山 L(FWIY-L)約112×150mm約125gガラス板折りたたみ式・縦横兼用(Amazonの商品説明は「※壁掛けはできません。」)
万丈 V入山肖像額 L判(106-272)130×169mm170gガラス縦横兼用スタンド付・「置きのみ」
ケンコー カラー遺影額縁 L(PS-JIR-L-BK ほか5色)122×162mm150gガラス縦横兼用スタンド付
King 肖像額縁 L(2024年5月の発売告知の仕様)110×150mm134gガラス背面にスタンドが付属

L判の額の外寸は11〜13×15〜17cm、重さは125〜170g。葬儀サイズの額と同じシリーズで比べると、ケンコーとハクバでは縦横とも約2.6〜3倍の差があります。写真が2L(127×178mm)なら、ケンコーの2L/KG兼用は外寸162×212mm・270gです。

ハクバの入山 Lは木製で、タテ置き・ヨコ置きどちらにもできる折りたたみ式のスタンドが付きます。付属のマット紙を使うと見える範囲は約66×100mm、外すと約79×116mm。

ケンコー・トキナーのカラー遺影額縁 Lは樹脂製で、縦横兼用スタンド付き。5色あり、太子と色を揃えられます。台紙の窓の寸法は書かれていませんでした。

手元に焼香台用の小さい写真がなければ、大きい遺影写真や元のデータから写真店でL判や2Lに焼いてもらう形になります。知恵袋の2011年の回答にも、先祖の遺影が増えたので「写真サイズに焼き増しして…額に移しました」という話がありました。

仏壇の中に置いてよいかについて、今回確認した浄土真宗本願寺派の覺照寺は、仏事Q&Aで「親しき方の遺影は、生前のお姿を偲ぶ縁として仏間の長押に飾り、お仏壇の中には入れません。」と説明しています。ほかの宗派は今回確かめていないので、置き場所に迷ったら菩提寺に聞いてください。仏壇の前や上に置く場合は、仏壇と床の間の記事で書いた奥行きと高さの測り方が、そのまま額の置き場所にも使えます。

使わなくなった額と、大きな遺影の扱い

額を入れ替えると、元の額と大きな写真が残ります。知恵袋で遺影の額やサイズについて尋ねた質問10件のうち3件が、大きな遺影を小さく・軽くしたい、入れ替えたいという相談でした(ほかに、しまってよいか・どこに飾るかの質問が2件)。納骨に持っていくのに鞄に入らない、という人もいました。

処分について、葬儀社の小さなお葬式は「遺影には宗教的な意味合いはないので、一般ごみとして処分することが可能です。」と書き、ごみに出すことに抵抗がある場合は「お寺や神社でお焚き上げ」を挙げています。知恵袋では、同じ葬祭業者を名乗る回答者が「使用していた額を処分するのは何の問題もありません。」と答えていました。ただ、遺影の扱いは家ごとの考え方もあるので、気になるなら菩提寺や親族に聞いてから決めてください。

ごみに出す場合、額は木や樹脂の枠、ガラスやPETの板、写真と台紙で素材が分かれます。小さなお葬式も「地域の分別規定に従って処分しましょう」と書いています。分け方は自治体ごとに違うので、骨壷の処分の記事で書いた、自分の市の分別辞典で引く順番が使えます。

葬儀の祭壇に使った大きな写真は、葬儀社が引き取ることもあるようです。知恵袋で葬儀屋の職員を名乗る回答者は、祭壇の「とても大きいもの」は要望がない限り葬儀社で供養し、「A4サイズと四切りのお写真はご遺族にお渡し」すると書いていました。葬儀を頼んだ会社がどうしているかは、その会社に聞くのが早道です。

納骨を控えているなら、額より先にそろえたいのは書類のほうです。火葬の証明が手元に見当たらないときは、火葬証明書の取り方の記事で、どこに何を頼めばよいかを調べています。