永代供養で、あとから変えられないのは、合葬(ほかの人の遺骨と一緒に納める形)のあとは遺骨が戻らないことです。公営の募集ページでそう明記していたのは、読んだ範囲で6自治体ありました。分かれるのは、個別に置く期間の終わりを知らせてもらえるか、何かあったとき誰が答えるかです。期間のあとも遺骨を戻す可能性を残したい人と、納骨の日に立ち会いたい人(新座市は立ち会えないと書いています)には向きません。
よく引かれる6割以上が後悔という数字は、石材店の団体が2016年にネットで行った調査のもので、永代供養墓と答えた人は109人でした。同じ団体の2019年の調査では、永代供養墓の127人のうち61.4%が「後悔したことがない」と答えています。並んでいる選択肢は場所・維持費・区画の大きさ・お参りの回数など(2019年は別の形のお墓を選ぶ欄も)で、合祀して戻せないこと、親族との話し合い、預け先が続くかどうかを選ぶ欄はありません。そこは調査ではなく、申し込む前の規則の文言と、経営している法人の名前で確かめることになります。
永代供養の後悔は、調査の数字より規則の文言で確かめる
親の遺骨を移す人と、自分の分を申し込む人では、先に読む欄が少し違います。
親の遺骨を移す人は、合葬のあとは戻せないこと、いつ合葬になるか、お参りの場所と形の3つを、親族と同じ募集案内・使用規則・料金表で見ておく。自分の分を申し込む人は、個別に置く期間が終わる前に知らせが来るか、自分が亡くなったあと誰が答えてくれる体制か。どちらにも共通するのが預け先の経営で、経営する法人の名前と財務の書類が手がかりになります。
検索上位には「霊園が倒産してしまった」を後悔の例に挙げる記事があります。この記事は、その確かめ方を、法律と国の指針と公的機関の公表資料の原文から出します。
6割以上が後悔という数字は、2016年に109人が答えた調査のもの
検索上位で引かれている数字の原典は、全国石製品協同組合(石材店の団体)のプレスリリースです。2016年9月の見出しは、こうでした。
「永代供養墓・室内墓・樹木葬」を使用している6割以上の方が、何らかの後悔を抱いている。
調査はインターネットで、対象は「お墓を所有している 40才代以上 男女」、有効回答は1,019名。問いは2つあり、永代供養墓の人が答えたのは「【墓地について】お墓を建てた後に後悔したことはありますか?」です(もう1つは一般墓地の所有者に墓石について聞く問い)。グラフの人数の合計が回答者数と一致するので、1人1つを選ぶ形と読み取れます。1,019名のうち800名は一般墓地で、永代供養墓は109名、樹木葬は36名でした。
同じ団体は2019年11月にも同じ題の調査を行い(4年連続の第4回、有効回答1,373名)、2020年1月のリリースにこう書いています。
一方、永代供養墓61.4%、室内墓60.4%、樹木葬72.2%といずれも6割以上の方が「後悔したことがない」と回答しており、一般墓地を下回っているものの、調査を始めた2016年と比較し“満足度”が上がったことが伺えます。
表から言えるのは、2016年の永代供養墓でいちばん多かった後悔が「違う霊園・寺にすれば良かった」(29.4%)で、2019年は「維持費(管理料他)が高かった」(10.2%)だったこと。2016年の維持費は6.4%で、一般墓地(10.9%)より低い数字です。
ただ、2016年と2019年では選択肢が変わっています。2019年は「樹木葬にすれば良かった」など、別の形のお墓を選ぶ欄が加わり、同じ物差しで測った推移としては読めません。団体の見出しも、2019年は「一般墓地は他の墓地に比べて後悔が少ない結果に」で、結論が逆になったわけではありません。増えた理由を団体は、霊園に出入りする石材店の案内を受けて購入する人が増えたためではないか、と解釈しています。
もう1つ見ておきたいのは、選択肢にない後悔です。2016年と2019年の選択肢には、合祀して遺骨を戻せないこと、親族に反対されたこと、お参りの形、あとから出てきた費用にあたる欄がありません。検索上位の記事が並べる合祀や親族の後悔は、この調査では数えていない側にあります。
知恵袋には、合祀をした翌日の質問があります(2011年7月の投稿)。
家に帰ってからお骨がない淋しさと、本当にこれで良かったのか、合同墓ではないお墓に入れてあげれば良かったと後悔しています。
質問者は、お骨を取りに来ないと署名したうえで納めていました。署名していても、戻せないことの重さは納めた後に来ることがある。この調査の選択肢では拾えない後悔です。
預け先が続くかの手がかりは、経営する法人と財務の書類にある
申し込む前に尋ねるのは、次の3つです。
- 使用許可証や規則に載る、経営する法人の名前(自治体・宗教法人・公益法人のどれか)
- 案内や販売をしている会社の名前。経営する法人と同じか
- 財産目録・貸借対照表などの財務の書類を備えているか、申し込む前の人にどう見せてくれるか
この3つの手がかりは、法律と国の指針に書かれています。
2022年、札幌市の屋内型の納骨堂が経営に行き詰まりました。東京新聞(2022年10月29日)によると、2012年に開業し、約1000体の遺骨を預かっていた納骨堂で、経営していた宗教法人が破綻し、建物は競売で不動産会社に落札され、事業は引き継がれず閉鎖に至っています。同紙は、札幌市の担当課長の「代表がおらず、納骨堂の鍵が開かないため中に入れず、遺骨を引き取れない遺族もいる」という話を伝えました。HTBの番組紹介(2023年5月放送)は773家族が契約していたとし、「利用者のなかには、いまも遺骨を納めたままの人や、引き取った遺骨の行き場が見つからない人も多い。」と書いています。追えたのはこの時点までです。
2022年10月28日、厚生労働省は自治体あてに事務連絡を出し、施設名を挙げずにこう書きました。
しかしながら、今般、納骨堂が実質的に経営破綻し、遺骨の引き取りにも支障が生じているという事案が報道されています。同納骨堂については、所管自治体が条例に基づき立入検査したところ、墓地埋葬法等により備えておく必要がある財産目録、貸借対照表、損益計算書等の財務書類が備えられていなかったところです。
ここで出てくる「備えておく必要がある」書類は、「墓地、埋葬等に関する法律」第15条と、同法施行規則第7条第2項に書かれています。
墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令の定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない。
前項の管理者は、墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない。
墓地等の管理者は、前項に規定する帳簿のほか、墓地等の経営者の作成した当該墓地等の経営に係る業務に関する財産目録、貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他の財務に関する書類を備えなければならない。
条文に並ぶのは使用者や死者に関係ある人です。これから申し込む人がどこまで見せてもらえるかは、条文から決めずに管理者に尋ねるのが順当で、答え方が判断の材料になります。
厚生労働省の「墓地経営・管理の指針」(平成12年)は、自治体が経営を許可するときの留意点として、経営・管理の体制が明らかなことを挙げています。
利用者にとっては、墓地の経営・管理が実際にどのような体制で行われ、また、特に何か事が起こったときには誰が責任をとるのかが明らかになっていることが重要であり、これを定めておく必要がある。
規則や使用許可証に載る経営する法人と、パンフレットや窓口に出ている会社が、同じとは限りません。任せていること自体ではなく、何かあったときにどちらが答えるのかを、申し込む前に聞いておきたいところです。
その「どちらが答えるのか」が争点になった例が、国民生活センターの紛争解決委員会の公表資料(令和2年12月17日、事案1「納骨堂の費用に関する紛争」)にあります。経営は宗教法人、案内と販売・管理はその委託を受けた会社という納骨堂で、3者の主張はいずれも要旨の形で公表されています。申し立てた人は、契約前に担当者から納骨壇の購入以外の費用はかからないと説明を受けたこと、代金を振り込んだ後に使用許可証と管理規約が郵送されてきたこと、令和元年に家族の遺骨を納めようとして、聞いたことのない名目で約22万円がかかると書かれた返信を受けたことを挙げています。宗教法人は、追加の費用は委託先の会社が行ったものだと主張しました。運営会社は、和解の仲介の手続きに協力する意思はないと答え、和解は成立していません。
会社が費用をどう説明したかは、申し立てた人の主張の欄に伝聞として出てくるだけで、どちらの言い分が正しいかは公表資料からは決められません。残るのは、追加の費用についてどちらが答えるのかが、この段階で分かれていたことです。
確かめる相手は、宗教法人に限りません。公営にも、期間が過ぎれば通知せず合葬へ移す(神戸市)、納骨しなくなっても使用料は戻らない(広島市)と書いているところがあります。
期間の終わりは、知らせてもらえるとは限らない
個別に置く期間が終わって合葬へ移るとき、知らせが来るかは施設が決めています。神戸市の鵯越合葬墓は、期間が終わったときの移し方をこう書いています。
使用許可日から10年(延長した場合は20年)を経過した後は、申請者等に通知することなく合葬施設へ埋蔵となります。
自分の分を申し込む人は、亡くなったあとに期間の終わりを家族が知る手段があるかを確かめておくと、気づかないうちに合葬になる場面を減らせます。
合葬のあとは遺骨を返さない、と書いている公営の募集ページは、合葬墓・合同納骨塚で、2026年10月18日に読んだ範囲で札幌市・神戸市・広島市・鹿児島市・四街道市・新座市の6自治体です。合葬の前に個別に置く期間があり、その間なら返すと書いているのは神戸市と鹿児島市で、鹿児島市は個別埋蔵室の10年間に限って返すとし、その場合も使用料は戻らず、もう一度納めるには改めて申請と使用料の支払いが要ると書いています。神戸市は、返したあとのことをこう書いていました。
個別安置施設へ納骨された後、改葬を希望された場合は、その後再び納骨することはできません。
取り出したあとに戻せるかは、施設で分かれます。
知恵袋には、墓がないため家族の遺骨をお寺に預けて「間も無く33年」という人が、別の霊園の集合墓地に移したいが返してもらえるか、と尋ねた質問がありました(2024年10月の投稿・回答5件)。ベストアンサー以外の回答の1件は、預けたときに「○回忌まではお寺で供養しますが、それ以降は合祀になります」といった話があったかを尋ね、質問者は「親の代のことなので詳細がわからず。。」と返しています。何年目に何が起きるかは、紙で残しておかないと次の代に渡りません。
公営の案内には、家族への相談を先に求めるものもあります。仙台市は「納入された使用料等の返還もできませんので、お支払い前に、ご家族・ご親族と十分にご相談ください。」、新座市は「合葬式墓所の使用については、家族や親族とよく話し合った上で決めてください。」。
お参りの場所と形も、親族に先に伝えておきたいことの1つです。新座市は納骨に立ち会えないと書き、神戸市は施設の中に入れず献花台で参ると書いています。家族が想像していた納骨の日と違えば、それが後から「後悔」という言葉になることもあります。
申し込む前に尋ねる6つと、困ったときの相談先
個別の期間・返還・お参り・やめたときに戻る割合の欄の見方は、樹木葬のトラブルの記事の表と同じです。ここでは、それ以外に尋ねておきたいことを6つに絞ります。
申し込みのあとで説明と違う費用が出たら、消費者ホットライン188(いやや)へ。費用を誰が持つかで親族の話がまとまらないときは、墓じまいの費用は誰が払うかで、分け方の例を調べています。法律上の扱いが絡む話になったら、弁護士など専門家に相談してください。合葬で使わなくなった骨壺の扱いは、骨壷の処分は何ごみかを見てください。
合葬を終えてから、知恵袋の質問のように戻したいと思っている人にも、参る場所は残ります。神戸市の鵯越合葬墓は、参拝スペースから献花台に花を供えて参る形で、市は慰霊祭などの祭事を行わず、集団での祭事はできないと書いています。年忌の法要は遺骨が手元になくても位牌を拠り所に営めるという回答と、散骨のあとに同じ気持ちになった人の投稿は、散骨を後悔した人の投稿を読んだ記事で読んでいます。
最後に残すのは、霊園に尋ねた答えを書面1枚にして、家族に渡しておくことです。経営する法人の名前、期間の終わりの知らせが誰に届くか、合葬のあとは戻らないこと。その1枚があれば、親の代のことで詳細が分からない、と次の代が答える場面を減らせます。