身元保証サービスの料金は、「払うお金」と「預けるお金(預託金)」の2つに分かれます。料金を公開している7社の公式ページを同じ式で足し直すと、契約するときに用意する額は約115万〜225万円でした。検索結果の上に出るAIの要約は「総額50万〜150万円程度(プランによっては200万円以上)」としていましたが、7社のうち6社は、いちばん安い組み合わせでも150万円を超えていました(2026年9月24日の表示)。
身元保証サービスとは、家族の代わりに身元保証人や緊急連絡先を引き受ける民間のサービスです。病院への入院や施設への入居のときに使われます。多くは、亡くなった後の葬儀・納骨・手続き(死後事務)とセットで契約します。払うお金は主に身元保証や事務の手数料で、解約しても戻らないことが多いお金です。預けるお金は、葬儀や死後の手続きの実費に充てるために先に預けておくもので、使わなければ戻す扱いが多くなっています。この記事は、ご自身の備えとして検討している方と、親の入院や入居で保証人を求められたお子さんの両方に向けて書いています。
公式ページの料金表と、国の調査報告書を読んで計算しました。2026年9月24日時点の内容です。特定の事業者をすすめる記事ではありません。
7社の料金を足すと、最初に用意する額は約115万〜225万円でした
いちばん低かったのはえん道グループの梅クラス(約115万円)、いちばん高かったのはひとりのミカタのプラチナプラン(約225万円)でした。
表の数字には、読むときに気をつけたい点が3つあります。
1つ目は、「預けるお金」は下限の額だということ。7社とも預託金は「〜」付きの表示で、最低額より上は希望の内容しだいです(いきいきライフ協会は目安を「100万円~200万円」としています)。あかり保証は「葬儀・納骨、死後事務までご依頼のお客様のほとんどは、100~200万円を預託されています」と書いています。
2つ目は、同じ会社でもページによって預託金の下限が違う場合があること。あかり保証は、料金ページと料金表PDFでは70万円〜、よくある質問では50万円〜です。表は70万円で計算しました。なお、料金表PDFにある「ライフエンディング」154万円は、身元保証66万円と死後事務44万円に遺言公正証書の作成(基本料金44万円〜)を足したプランで、表の組み合わせとは中身が違います。
3つ目は、含まれるサービスが社によって違うこと。いきいきライフ協会は任意後見や遺言の公正証書まで含む額で、シニア総合サポートセンターは死後事務のうち直葬の実費を含む額です。表の額だけで高い・安いを決めるのではなく、同じ中身にそろえたらいくらになるかを、見積もりで聞くための目安として使ってください。
入口に出ている金額だけでは、この額は見えません。ひとりのミカタのプラチナプランは年会費を「ひと月あたり7,700円」と表示していますが、預託金を含めると契約時に約225万円が必要です。おひさぽの料金表には月2,728円の見守りサービスも並んでいますが、身元保証と死後事務をそろえると約193万円になります。
過去の相談でも、契約額の平均は約147万円でした
AIの要約にあった「50万〜150万円程度」は、下限が低すぎるように見えます。
国民生活センターが2019年に公表した資料では、2013〜2018年度に受け付けた相談のうち契約金額が分かる341件で、契約金額の平均は約147万円でした。100万〜200万円未満が185件(約54%)といちばん多く、すでに支払った額の平均も約100万円です。相談になった契約の集計なので、市場全体の平均ではありません。それでも、100万円を下回る水準ではなかったことは分かります。
総務省が2023年に出した調査報告書も、事業者の料金の例を4つ並べて、次のように書いています。
本調査において協力が得られた事業者から提供された資料を基にいくつかの例を示すと、以下のとおり、サービスの利用開始時に必要な額が少なくとも 100 万円以上であった。
同じ報告書によると、調査対象のうちホームページのある87事業者で、サービスごとの費用を開示していたのは42事業者(48.3%)と、半数に届いていませんでした。今回の7社は、費用を公開している側です。
この総務省の集計を引用している比較記事の中には、費用の開示を「43.7%」としているものがありました。報告書の表では、43.7%は「費用の支払方法」を開示している割合です。
契約した後も、月額と「頼むたびの料金」がかかります
付き添いや駆けつけの料金を1時間単位で公開していた4社では、1時間4,950円〜5,500円からの別料金でした。
「最初に払えば、あとはかからない」と思い込むと、ここでつまずきます。
国民生活センターは2025年5月に、次の相談事例を紹介しています。
勧誘時に「190万円以外にお金はいらない」と言われていたので、ここからサービス代金が支払われるという認識だった。ところが、サービスを利用するとその都度代金を請求される。解約したいと言うと、半分しか返せないと言われた。(80歳代)
国のガイドラインも、料金は「入会金や預託金などを区分して示すとともに、サービス利用の都度支払う費用がある場合には、その旨を明確に示すことが重要である」としています。
預託金が足りなくなったときの扱いを書いている社もあります。イオンライフのページは、死後事務について「ご希望の内容によって不足分が生じる場合は、預託金を増額いただくか、相続人さまへ請求することになります」としていました。
身元保証料は、親の入居先の月額で変わることがあります
同じ「身元保証料」でも、決まり方が3通りありました。
| 決まり方 | 例(公式ページの表記・2026年9月24日) |
|---|---|
| 定額 | シニア総合サポートセンター 330,000円/おひさぽ 990,000円(身元保証・事務支援) |
| 入居先の月額で変わる | えん道グループ: 施設の月額10万円以下なら220,000円、20万円超25万円以下なら330,000円、90万円超100万円以下なら1,155,000円/いきいきライフ協会: 月額の2か月分(最低33万円) |
| 入院1回ごと | ひとりのミカタ エントリープラン 33,000円/回・りすシステム 5,000円/件 |
えん道グループの計算表では、月額10万円以下の施設と20万円超25万円以下の施設で、身元保証料に11万円の差が出ます。親の施設探しと並行して見積もりを取る場合は、候補の施設の月額を伝えてから額を出してもらうほうが、あとで数字が変わりません。
なお、ひとりのミカタのエントリープランは表示額が低いのですが、公式ページでは65歳未満で東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に住んでいることなどが条件で、65歳になると終了します。60代後半から70代の親のために探している場合は対象外です。
解約したときに戻るお金は、費目ごとに違います
預けたお金は戻る扱いが多い一方で、入会金や契約金は戻らないと定めている事業者が多くありました。
総務省のヒアリング調査で契約書類を入手できた83事業者のうち、死後事務のための預託金がある69事業者は、解約時に手数料などを除いた全額を返金する旨を契約書などに定めていました。これは契約書の規定の話で、実際に返金された実績を集計したものではありません。
入会金や契約金といった、サービスの対価ではなく、いわばサービスを受ける資格を得るための費用を利用者から受け取っている事業者が 66 事業者みられた。
このうち、契約書で入会金・契約金の返金の取扱いを定めていた47事業者では、28事業者(59.6%)が「全く返金しない」と明記していました。一部を返金すると書いていたのは19事業者です。死後事務の契約書を確認できた77事業者のうち27事業者(35.1%)は、解約についての条項そのものがありませんでした。
戻らないお金がいくらで、何年たつと戻らなくなるのか。この線が社によって違い、あかり保証のように年ごとに返金額が減る方式もあります。
総務省が調査した消費生活センターの相談78件のうち、30件(38.5%)が解約(解約時の返金を含む)についてでした。国民生活センターの事例には、140万円を支払って解約を申し出たところ、返金額の説明がないまま50万円だけが振り込まれた、というものもあります。返金額に納得できないときは、消費生活センターに相談できます。
報告書には、預託金しか返金しないことをパンフレットに書いていた事業者が、利用者の親族から不満を受けたという話も載っています。書いてあっても、読まれていなければ食い違いは起きます。
預けたお金の置き場所は、信託かどうかで分かれます
総務省の調査に答えた204事業者のうち、預託金を受け取っているのは157事業者(77.0%)。そのうち信託会社の信託口座で管理していたのは29事業者(18.5%)で、自社の専用口座で管理しているのが108事業者(68.8%)でした。報告書には、事業者内の金庫で現金で管理している例や、法人の代表理事の個人名義の口座で管理している例(それぞれ1事業者)も載っています。
国民生活センターの2019年の資料は、2016年4月に破産手続開始の決定を受けた日本ライフ協会と契約していた高齢者などが、サービスの提供や預託金の返還を受けられなくなった被害に触れています。総務省の報告書は、その後も預託金の管理方法について法令上の規制等はない、と書いています。
国のガイドライン(2024年6月)は、預託金について「信託銀行又は信託会社を相手方とする信託契約を利用して保全することが望ましい」としました。法令で決められたものではなく、事業者に向けた推奨です。今回の7社では、りすシステム(第三者の決済機構が預かる方式)を除く6社が、信託口座や信託会社での管理を公式ページに書いていました。ただし、信託で管理していても、解約時にいくら戻るかは契約書の定めしだいです。
保証人がいないと、入院や入居ができないとは限りません
身元保証サービスを探すきっかけが「病院や施設で保証人を求められた」ことなら、先に知っておいてよい通知があります。
厚生労働省は2018年4月に、身元保証人等がいないことのみを理由に医師が入院を拒否することは「医師法第19条第1項に抵触する」とする通知を出しています(総務省の報告書に資料として収録)。同じ年の8月には、介護保険施設について「入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する正当な理由には該当しない」とする通知も出しました。この通知は2025年7月に一部改正されましたが、この記述は改正後も残っています。
ただし、入所を拒まないようにという記述は介護保険施設についてのもので、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にそのまま当てはまるとは書かれていません。保証人を求められたときにどう動くかは、施設の種類によって変わります。お住まいの地域包括支援センターに、身元保証サービス以外の手段も含めて相談できます。
契約の前に、書面で確かめておくこと
総務省の報告書の別の集計では、契約関係の書類を確認できた132事業者のうち、重要事項説明書の作成を確認できたのは28事業者(21.2%)でした。契約書はほとんどの事業者が作っていますが、契約の前に内容を説明するための書面を作っている事業者は、まだ少数です。
見積もりをもらう段階で、次の点を書面で受け取っておくと、比べやすくなります。とくに太字の3つは、社によって差が大きいところです。
進める順番は、①保証人がいないと入れないのかを、病院・施設か地域包括支援センターに聞く、②使うなら2社以上から見積もりと上の点を書面でもらう、③家に持ち帰って家族と比べる、です。
国民生活センターの事例には、担当者から「明日どうなるか分からない。一刻も早く預託金を支払うように」と急がされたというものもありました。100万円を超える契約なので、その日のうちに決める必要はありません。
消費者庁は、不安がある場合は消費生活センターか地域包括支援センターに相談するよう案内しています。消費生活センターには、消費者ホットライン188でつながります。相続や遺言、任意後見まで一緒に決める契約になる場合は、その部分は弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。
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