遺骨を送るキットは、郵便局に売っているのか
郵便局で遺骨用のキットが買える、という公式の案内は見つかりませんでした。
送骨とは、遺骨を宅配便で寺院や霊園に送り、納骨してもらう方法のことです。
検索の1ページ目に並ぶ「送骨キット」は、楽天市場やBASEの商品ページでした(2026年9月11日時点で6位と10位)。中身は段ボールの箱と緩衝材、送り状といった梱包の一式で、遺骨のための特別な資材ではありません。値段はここでは扱いません。
もうひとつ、受け入れる寺から届く形があります。埼玉県熊谷市の見性院は、申し込みのあとに「送骨セット」を送り、そこに遺骨を梱包して郵送するよう公式ページで案内しています。
箱そのものが手元に無いなら、集荷で持ってきてもらう手もあります(あとで触れます)。
遺骨はゆうパックで送れるのか——3社の「送れないもの」を読み比べた
大手3社のうち、送れないものの一覧に遺骨が載っていないのは、ゆうパックだけでした。
約款の側も同じでした。引受けを拒絶する場合を並べた第7条の原文です。
当社は、次のいずれかに該当する場合には、運送の引受けを拒絶することがあります。
(3) 荷造りが運送に適さないとき。
(7) 荷物が次に掲げるものであるとき。 ア 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼすおそれのあるもの イ その他当社が特に定めて表示したもの
そして注書きで、イの中身がこう限られています。
(7)のイの当社が特に定めて表示したものは、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)に規定する愛護動物、現金及び複数の個人情報とします。
ここで気をつけたいのは、日本郵便が「遺骨は送れます」と言っているわけではないことです。確認できたのは「引受けを拒絶する品目に遺骨が入っていない」という消極的な事実まで。しかも同じ第7条の(3)には「荷造りが運送に適さないとき」も並んでいます。
法律の側はどうか。墓地、埋葬等に関する法律には、遺骨の運搬や輸送を扱った規定がありません。第14条が定めているのは、受け入れる側のことです。
墓地の管理者は、第八条の規定による埋葬許可証、改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ、埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。
納骨堂の管理者は、第八条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、焼骨を収蔵してはならない。
送る側の手続きを定めた条文ではありません。
今回確かめたのは大手3社です。
送り方の手順と、送り状に何と書くか
約款は、壊れやすいものはその旨を送り状に記載するものとしています。
受け入れ先に確認する
受け取る側に、郵送でよいか、いつ届けてよいか、同封する書類は何かを先に聞く
箱と緩衝材を用意する
骨壷が動かないように詰める。サイズは3辺の合計で決まるので、箱は測ってから
送り状を書く
品名と、運送上の特段の注意事項(壊れやすいものかどうか)を記入する
書類を同封する
送骨なら埋葬許可証(または改葬許可証)の原本など、受け入れ先が指定するものを入れる
差し出す
郵便局の窓口・コンビニ・集荷から選ぶ。セキュリティサービスはコンビニでは付けられない
約款第25条3項は、損害賠償の範囲をこう定めています。
壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物については、荷送人がその旨を送り状に記載せず、かつ、当社がその旨を知らなかった場合は、当社は、運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた荷物の滅失若しくはき損又は料金等役務の不取扱いについて、損害賠償の責任を負いません。
では実際に何と書いたのか。知恵袋の2015年1月の投稿に、郵便局に30年以上勤めたと名乗る回答がありました。品名欄には「遺骨(またはお骨)」と書き、「こわれもの」に丸をつけ、窓口では「お骨が入っています」と伝える。運賃は普通のゆうパックの料金だ、という助言です。質問者はその後こう書き込んでいます。
おかげさまで無事に発送できました(^ ^)料金も普通、小さな骨壷でした。ありがとうございます!
品名に「セトモノ」など別の名前を書いて通した、という投稿も知恵袋に1件ありました。
シールも用意されています。ご利用案内(2026年8月3日現在)にはこうあります。
「こわれもの」用シール、「なまもの」用シール、「ビン類」用シール、「逆さま厳禁」用シールをご用意しています。なお、「こわれもの」はセキュリティサービスとすることを、「なまもの」はチルドゆうパックとすることをお勧めします。
サイズと料金は、外箱の3辺で決まる
測るのは骨壷ではなく、骨壷を入れた外箱です。
寸からセンチへの換算は公的な表が見当たらないので、骨壷を入れた箱の縦・横・高さを測って足すのが早いです。目安として、知恵袋の郵便局勤務を名乗る回答は、関西の骨壷は4〜5寸で、5寸で約16cm×18cmだと書いていました。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| サイズ区分 | 長さ、幅及び厚さの合計で決まる。60cmまで=60サイズ、80cmまで=80サイズ、1mまで=100サイズ |
| 上限 | 3辺の合計170cm以下、重さ25kgまで |
| 60サイズの運賃 | 県内あて820円/第1地帯あて880円/第2地帯あて990円 |
| 80サイズの運賃 | 県内あて1,130円/第1地帯あて1,200円/第2地帯あて1,310円 |
| 100サイズの運賃 | 県内あて1,450円/第1地帯あて1,500円/第2地帯あて1,620円 |
| 地帯の見方 | 関東から近畿あては第2地帯。東京から大阪へ送るなら第2地帯の欄を見る |
| 持込割引 | 持ち込むと、荷物1個につき120円を運賃から減額 |
| 損害賠償 | 最高30万円まで |
| セキュリティサービス | 加算料金420円。申し出られる損害要償額は50万円まで。コンビニ・取扱店に差し出す場合は利用できない |
取得日は2026年9月11日。運賃は日本郵便のゆうパック約款の運賃料金表によるもので、最近の改正は2025年4月1日です。
東京から大阪へ骨壷をひとつ送るなら、関東から近畿で第2地帯。外箱の3辺の合計が60cm以内なら990円、80cm以内なら1,310円になります。
セキュリティサービスのページには「内容品の時価を超えて申し出ることはできません。」とも書かれています。
集荷・コンビニ・着払いは、どうなっているか
3つとも公式の案内があり、そこに遺骨についての特別な注記はありません。
集荷。 Q&A125は、箱やラベルを持ってきてもらえるかという問いに「可能です。」と答えています。集荷専用の電話は0800-0800-111で、固定電話・携帯電話とも通話料は無料。ウェブの集荷申し込みには、ラベルの用意と梱包資材(有料)の欄があります。
コンビニ。 ゆうパックを出せるのはローソン、ミニストップ、セイコーマート、ローソンストア100です。一部の店舗では取り扱っていない、とも書かれています。制約もひとつあります。
コンビニエンスストア、取扱店に差し出す場合はセキュリティサービスはご利用できません。
30万円を超える補償を付けたいなら郵便局の窓口へ。骨壷が高価なものなら、ここが分かれ目になります。
店頭で「こわれもの」の扱いを申し出られるかは、公式ページに記載が見当たりませんでした。迷うなら郵便局の窓口か集荷のほうへ。
着払い。 ゆうパックは着払いの対象で、ゆうパックの着払い手数料は無料です。差し出しは郵便局の窓口・集荷のほか、コンビニを含むゆうパック取扱所でもできます。公式ページに、ひとつだけ先にやることが書かれています。
あらかじめ荷物の受取人に、運賃・料金と手数料をお支払いいただくことの承諾を得てください。
送骨で着払いが使えるかは、受け入れ先しだいです。
寺や霊園に送るとき(送骨)
手順を決めているのは、送る側ではなく受け入れる側です。
見性院(埼玉県熊谷市)の永代供養のページには、申し込みのあとに送骨セットが届き、次のように郵送する、と書かれています。
ご遺骨をしっかり梱包して、郵便局の「ゆうパック」で郵送してください
同封するものは、埋葬許可証(または改葬許可証)の原本と、納骨・埋葬承諾書。到着の確認を連絡したあとに納骨、という流れです。許可証の原本が要るのは、さきほどの墓地、埋葬等に関する法律第14条が、受け入れる側に許可証の受理を先に置いているからだと読めます。
条件は寺ごとに違うので、送る前に受け入れ先に確かめてください。
実際に送った人は、どうだったのか
10スレッド・回答50件を読んだ範囲では、窓口で断られたという投稿はありませんでした。
争点は「送れるか」ではありませんでした。回答が割れる唯一の実務論点は品名の書き方で、それより多かったのが「送っていいのか」という気持ちの側です。
2024年10月の質問はこうでした。
遺骨って、ゆうパックで送れるんですね?箱を積んだり並べる時、隣りに食品とかのゆうパックにならないようにしてくれるんでしょうか?
これに「昔、年に一度あるかないか程度で遺骨を何度か取り扱っていました」と名乗る回答が付き、落とさない、転倒させない、重い荷物を上に置かない、と書いていました。
反対の声もはっきり残っています。2018年4月、300km離れた従兄弟の家から祖父の遺骨を移そうとした人のスレッドで、ベストアンサーはこう書きました。
確かに遺骨の宅配は日本郵便で普通に行われていますが、わたし的には、"遺骨を荷物扱いするようで、すごく嫌です"
質問者の結論は「やはり直接遺骨を受け取りに向かうことにしました。」でした。送れることと、送るかどうかは別。この記事で並べた公式の文書が触れているのは、前者の側だけです。
送る前に決めておく3つ
決めることは、可否ではなく段取りのほうに寄ります。
- 受け入れ先の条件を先に取る。 郵送を受け付けているか、書類は何を原本で入れるか、着払いは可能か。決めるのは寺や霊園の側です。
- 品名と、運送上の注意事項をどう書くか。 約款は壊れやすいものの記載を求めていて、記載せず、日本郵便もそれを知らなかった場合の損害賠償を除いています。実例としては、品名に「遺骨(またはお骨)」と書いて窓口に伝え、無事に届いたという報告が残っています。
- 家族の誰に、いつ伝えるか。 知恵袋で反対の声が付いたのは、可否ではなく気持ちの側でした。あとから知った人が同じことを言う可能性はあります。
粉骨や納骨を頼む先に送るなら、資料や見積もりを取る段階で、受け取る側の条件と梱包・郵便の扱いを先に確かめておきます。
墓じまいの流れで遺骨を動かすなら、費用の宛先が誰になるかを先に整理しておくと話が早いです(墓じまいの費用は誰が払うに条文と条例を並べています)。納め先を決めずに散骨を考えている方は、散骨を後悔した人は実際にいるのかを先にどうぞ。送骨のあとの永代供養の選び方は永代供養・樹木葬にまとめていきます。